ベネチアが世界初の「入場料」徴収、オーバーツーリズム対策で 違反者には罰金最大5万円
イタリア北部の都市ベネチアは25日、観光客が押し寄せて住民生活が害される「オーバーツーリズム」対策として、市内に入る観光客から手数料を徴収する制度を導入した。観光シーズンのピークを対象としたもので、世界初の事例となる。 市の玄関口となる駅付近の歩道橋には、日帰り旅行者に5ユーロ(約830円)の新たな料金が課せられることを知らせる看板が設置された。 市の観光担当者は次のように話す。「特定の29日間に日帰り旅行者が訪れないようにして、その翌日にベネチアにどれだけ多くの人が訪れるのかを事前に知るための新たな方法を模索している。」 実施初日の4月25日はイタリアは祝日だった。朝8時30分から午後4時30分まで、ベネチアを訪れるためにはチケットを購入しなければならない。ホテルを予約している人や14歳以下の観光客は購入は不要だが、事前にオンラインで登録する必要がある。また居住者、学生、労働者は免除される。 イタリア国内から訪れた観光客は次のように述べた。「不公平だと思う。美術館や、街中を観光して、食べたり眠ったりするのにホテルに多額のお金を払っているのに、街の中に入るのにお金を取られるなんて。」 当局によると現在は試験運用中で、時期によって入場料が値上がりする可能性もあるという。予約はオンラインで行う必要があるが、スマホを持っていない人のためにブースも用意されている。 市の入口に改札口などはないが、検査官が無作為にチェックを行う。登録を怠った者には50―300ユーロ(約8300―5万円)の罰金が科せられる。 市の当局者によると、昨年ベネチアを訪れた観光客は2000万人で、市の人口約4万9000人をはるかに上回る。ベネチアは昨年、ユネスコの「危機にさらされている世界遺産」入りをかろうじて免れた。理由の1つとしてユネスコは、オーバーツーリズムによる生態系破壊リスクに、市が対処していることを挙げた。市は入場料導入のほか、大型観光船の市内乗り入れを禁止したほか、団体客の規模に新たな制限を設けることを発表した。