「無知のまま生きることの危うさ」俳優・小松みゆきが親になった今だからこそ伝えたい「芸能界での苦い経験」
たくさんの人が関わって時間をかけて作り上げるという、映画の舞台裏の大変さを知ることができた初作品となりました。
■芸能界を目指す子の親に「失敗談」を伝える理由とは ── 21歳の時に、「女優への転身」を宣言されましたが、当時の心境は? 小松さん:すでに女優としての仕事はしていたので、どちらかといえば「グラビアは終わりにします」という意味合いでした。 今だから話せるのですが、当時はトラブルもあって。その頃「お芝居の仕事をメインにしたい」という意向で紹介された事務所への移籍に承諾したのですが、その移籍先では、私の意思を無視した心外な仕事をさせられそうになったことがありました。「これまでと何かが違う」と直感が働いた撮影現場があって、撮影2日目には確信し、「もうこの仕事はできない」と、その事務所に直談判しました。
しかし、契約書にサインをしている以上、それは容易ではありませんでした。その後、事務所側は違約金を請求してきました。到底納得出来なかったため、民事訴訟に持ち込みましたが、契約書には「映像の仕事」と書かれているため、「『映画』か否かを判断するのは難しい」と当時の裁判所では判断されてしまいました。 ── その後はどのように芸能界に復帰されたのですか? 小松さん:大手芸能事務所の社長さんに相談して、その事務所に所属させてもらうことで、一応は落着となりました。
事務所のことをよく知らずに身を委ね、言われた通りに契約書にサインをしてしまったのがそもそもの誤りです。その後は、芸能活動も再開でき、今日までさまざまな作品に携わることができていますが、事務所選びでの失敗は、私の人生観を変える転機となりました。 物事を決める時には先回りして考えるようすることと、聞きづらいことも気になったら質問するようすることが、過去の失敗から得た教訓です。 大事なことを聞かずに放置して、良くないことになるのを避けたいので、昔に比べたらだいぶ図々しくなったように思います。