「人気の低い大統領にとって最悪の時期に発生」　権力乱用と弾劾関連の韓国政治史への言及も

ガーディアン(左)とBBC(右)のウェブサイトより

　外国メディアが尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領の配偶者、キム・ゴンヒ女史のブランドバッグ授受疑惑を相次いで取り上げている中で、英国の日刊紙「ガーディアン」が「今回のスキャンダルは非常に人気の低い大統領にとって最悪の時期に発生した」と報じた。 「ドラマのようだが、現実」 　26日（現地時間）、フリージャーナリストのラファエル・ラシード氏は「大統領夫人とディオールバッグ：韓国政治を揺さぶったスキャンダル」という見出しの記事で「総選挙をわずか数カ月後に控えた状況で、尹大統領の夫人が不適切にデザイナーズハンドバッグを受け取ったという疑惑がもちあがり、政権与党が危機に陥った」と報じた。さらに「韓国の大統領夫人が（チェ・ジェヨン）牧師から豪華な贈り物を受け取る場面が隠し撮りで撮影された」とし、「これはまるで複雑な韓国ドラマのあらすじを彷彿とさせるが、韓国の保守政権を混乱に陥れた実際の政治的危機」だと報じた。 　ガーディアンは「チェ牧師はキム女史に初めて会う過程で、キム女史が敏感な国政の懸案について電話で話す内容を耳にしており、それが次の面会では隠しカメラで盗み撮りすることを決心した理由だと主張している」とし、「韓国で権力乱用疑惑は深刻な問題だ。保守勢力の朴槿恵（パク・クネ）元大統領は腐敗容疑で弾劾され収監されたものの、後任の大統領によって赦免された」と報道した。 　続いて「キム女史は論文盗作、虚偽の経歴、株価操作などいろいろな疑惑で議論の的になっており、夫である尹大統領を困らせている」とし、「韓国の二大政党が4月10日の総選挙を控えて支持を得るために全力を尽くす中で、今回のスキャンダルは非常に人気の低い大統領にとって最悪の時期に発生した」と指摘した。 　ガーディアンは、尹大統領が今月初め、キム女史の株価操作疑惑を捜査するための特別検事法を拒否した事実と共に、韓国国民の10人中7人はキム女史のブランドバッグ授受疑惑について、尹大統領の立場表明が「必要だと思っている」という最近の世論調査の結果も伝えた。 　これに先立ち、エムブレイン・パブリックは21日から2日間、YTNの依頼を受け全国の成人1000人を対象に、キム女史問題と関連して尹大統領が立場を表明する必要性について尋ねた結果（信頼水準95%、標本誤差±3ポイント）、「必要だと思う」という回答が69%、「必要ないと思う」という回答が24%だったと発表した。 　また、与党「国民の力」のキム・ギョンユル非常対策委員がキム女史をフランス大革命直前の王妃だったマリー・アントワネットに喩えた事実や、同党のハン・ドンフン非常対策委員長がこの事件（ブランドバッグ授受疑惑）を「おとり取材工作」としながらも「国民に懸念を抱かせるところがある」と語り、大統領室がハン委員長に辞退を求めたがハン委員長が拒否した事実なども詳しく報じた。 　英国の「BBC」も25日、「大統領夫人のディオールバッグが国家リーダーシップを揺さぶる」という見出しの記事で、「キム女史のブランドバッグ授受疑惑をめぐる議論が与党『国民の力』を混乱に陥れた」とし、「一部の評論家は今回のスキャンダルが与党の4月総選挙の見通しを暗くするとみている」と報道した。 　BBCは、昨年末に公開された隠しカメラの動画に（チェ・ジェヨン）牧師がキム女史にディオールのバッグをプレゼントする場面が登場するとし、このバッグの値段は1800ポンド(約30万円）だと報じた。 　さらに、ガーディアンと同じ世論調査結果を引用し、「世論調査の結果によると、有権者たちは尹大統領の釈明を望んでおり、野党は今回、尹大統領を攻撃する材料としてこの問題を活用している」と報道した。また「今回のスキャンダルが与党内の亀裂を起こした」とし、ハン委員長が「国民に懸念を抱かせるところがある」と発言した後、大統領室から辞任を求められた状況について報じた。ただし、その後、尹大統領とハン委員長は関係を改善したものとみられ、ハン委員長は党に留まっていることも報じた。 イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )