『音楽の日』から『FNS歌謡祭』まで……音楽特番のダンスコラボ企画が盛り上がる理由
テレビという視覚的なコンテンツだからこそより感動できる
■ダンスは「事務所」だけではなくいろいろな物事の垣根を越える Oguriはインタビュー時、同企画を「歴史的瞬間」と表現してくれた。これは『音楽の日』以降、数々の音楽特番でコラボ企画が増加した理由にもつながる。「テレビというコンテンツが長年、いろんな企画を積み上げてきたからこそ実現できたこと。だから、それぞれの事務所やグループのみなさんも賛同されたのだと思います」と、テレビだからこそ実現できるものであり、そして成功できるのだと強調した。 そしてテレビという視覚的なコンテンツだからこそ、ダンスのコラボ企画はより感動できると思われる。これまでも歌でコラボする音楽特番の企画は多かったが、ダイナミックな動きだけではなく、繊細な仕草など、ダンスにはさまざまな“表情”が存在する。個人の見せ場もあれば、集団で動きを揃えるような見せ場もある。極端な話だが、これらのダンスの「動き」は無音で観ても、楽しめたり、感心できたりする。これは歌にはあらわせない、ダンスだけの特徴。つまりダンスは非常に映像的なジャンルと言えるのだ。その点も、テレビの音楽特番でダンスのコラボ企画が増加している要因の一つなのではないか。 なによりダンスは、ルーツが違ったり、言葉が通じなかったとしても、動きだけで伝わるメッセージがたくさんある。ダンスというのは、実はさまざまな物事の垣根を越える表現方法だということにたくさんの人が気づいたはず。コラボ企画の流行の根底には、ある意味“社会的”と言える部分も隠されている気がする。 すでにSKY-HI主催で事務所の垣根を越えてダンス&ボーカルグループが参加する『D.U.N.K. Showcase』も開催されているが、この流れはこれからも続くのではないか。ダンスコラボをきっかけに各グループとメンバーがお互いを高め合うことができれば、シーンはより活気づく。想像すると、ワクワクが止まらない。 ※1:https://www.lmaga.jp/news/2023/08/700727/
田辺ユウキ