小池都知事が予算案発表 「復活予算」廃止で編成はどう変わった?
「利権の温床」との批判もあった
これまでの東京都の予算編成は、毎年11月上旬から本格的に動き出しました。まず各局が予算を要求し、財務局が12月中旬までにそれらの予算要求を査定。その後、各政党・会派が都知事に予算を要望し、都知事が査定を行っていきます。 こうして1月中旬には予算原案が出来上がります。その予算原案を見て、各政党・各会派は予算原案に盛り込まれなかった自分たちが実現・推進したいと考える政策のための予算を要望します。これが復活予算と呼ばれるものです。復活予算は自分たちの推進したい政策を実現するために要求するため、その存在が各政党・会派の利権になっているという指摘もありました。 利権と指摘される背景には、復活予算が慣習化し、予算原案であらかじめ復活予算枠として約200億円が留保されたままになっていたことも一因です。しかし、小池知事は政党復活予算を廃止。予算編成のプロセスやスケジュールにも変化が生じました。
予算編成のやり方はどう変わった?
新たな予算編成では、小池知事が希望する“都民の声を最大限に反映する”ために、12月12日~20日の間に知事が各種団体の要望をヒアリングする機会が設けられました。 復活予算が廃止されたとはいえ、各政党・会派が予算を要望する場がなくなったわけではありません。各種団体の要望をヒアリングした後の12月21日には、知事に要望を伝える場が設けられました。復活予算というシステム自体は廃止されましたが、各政党・会派が予算を要望する場は残されたのです。それでは、以前と今年では何が変わったのでしょうか? 「今年から大きく変わったのは、各種団体や各政党・会派が都知事に予算を要望する場がフルオープンで報道陣に公開されることになったことです。これにより、予算編成の透明化が進むと考えられます」(同) 近ごろの政治・行政は税金の無駄遣いと非難されることが、たびたびあります。納めた税金は何に使われているのか? 普段気になっていても、一般の有権者がその内実に踏み込むことは困難でした。小池知事が復活予算を廃止し、予算編成のやり方を変えたことで、予算の透明化や情報公開の促進につながることが期待されます。それは、有権者にも納税者にとっても大きなメリットといえるでしょう。 (小川裕夫=フリーランスライター)