ラーメンの次は「焼き鳥」!?…インバウンドを魅了するヤキトリで「鳥貴族」の世界進出は成功するか
香港、台湾、アメリカ…次々と海外展開を発表した「鳥貴族」
鳥貴族ホールディングスが、主力業態の焼き鳥店「鳥貴族」を海外に出店するということで、話題となっている。’24年3月4日には香港でフランチャイズ契約、翌5日には台湾で合弁契約を締結し、それぞれ調印式も行った。アメリカに進出する準備も進めており、海外展開に意欲的だが、実際のところ、焼き鳥は海外に受け入れられるのであろうか。 【美味そう!】すごい…! ミシュランが認めた「ピーマンの肉詰め」の串焼き ◆現在の「焼き鳥」の原型ができあがったのは江戸時代 焼き鳥の歴史を紐解くと、日本焼き鳥協会によれば、室町時代に雉(キジ)の串焼きが食べられており、江戸時代中期に現在の焼き鳥の原型ができあがり、明治時代には焼き鳥の屋台が登場した。昭和30年代後半に、アメリカから安価で大量生産できるブロイラーが導入されて鶏肉の価格が安くなり、大衆的な焼き鳥店が増加したということだ。 焼き鳥は、狭義や現代の認識(やや広げれば、鶏以外も含まれる)にしたがえば、一口大にカットした鶏の肉や内臓を串に刺し、塩やタレで味付けして、直火で焼いたものである。一見シンプルに思えるが「串打ち三年、焼き一生」といわれるように、その道を極めるのは容易なことではない。 “串打ち”は、全体をバランスよく焼き上げるために、重さや厚みを考慮して刺す必要がある。串を回転させた時に、肉がクルリと回るようではダメだ。鶏の部位やポーションの大きさによっても、刺し方が違ってくる。焼き上がった時の見た目も大切で、隙間ができないようにしなければならない。 “焼き”では、火の加減や輻射熱、風の向きなどを計算する必要がある。熱の入り方や客とのコミュニケーションを鑑みて、最高のタイミングで提供しなければならない。客が食べるタイミングで、外はパリッとしたテクスチャを形成し、中はジューシーな旨味を残さなければならないのだ。 ◆焼き鳥店の市場規模は2000億円…ミシュラン東京の掲載は11軒 国内における焼き鳥店の市場規模は2000億円といわれており、食べログによると、全国で約3万2000軒、東京に約6500軒もある。「ミシュランガイド東京 2024」の料理カテゴリー「焼鳥」(「焼き鳥」と同じ意味。ちなみに「やきとり」は鳥以外も含まれる)では、一つ星2軒、ビブグルマン3軒、セレクテッドレストラン6軒で、のべ11軒だ。 日本独自の料理カテゴリーで比べてみると、掲載軒数(星付き、ビブグルマン、セレクテッドレストラン)は、「日本料理」「寿司」「天ぷら」「蕎麦」「ラーメン」よりは少ないが、「とんかつ」「居酒屋」「牛肉料理」「蟹料理」「うなぎ」「ふぐ」「おにぎり」「すき焼き」「豚肉料理」よりも多い。星付きに限って言及すれば、「焼鳥」は、「日本料理」61軒、「寿司」26軒、「天ぷら」14軒に続いて、「うなぎ」「蟹料理」「牛肉料理」「蕎麦」と同じとなる2軒の4位。カジュアルな業態であることを鑑みれば、健闘しているのは確かだ。