「PTAが地域とつながれるチャンスに」大学教員の遠藤晃弘さんの考える理想のPTAとは?
入会の意思確認には、課題もまだ多くある
実は昨年度から、PTAの仕組みが変わった神代中学校。 「まず、入会の意思確認をきちんとやろうと。活動に納得したうえで会費を払ってもらい、会員はみんな、子どもたちを支えるサポーターになる。その中で、委員は立候補で募るという形です。結果、うちでは9割が入会となりました」 ただ、遠藤さんとしては、この選択が本当の意味で正しかったのかは、正直迷いがあるそう。 「この先、加入者が7割、6割に落ちていくかもしれない。それは個人の選択の自由という意味では正しいとは思うのですが……“入る派”“入らない派”に分断されてしまうのは、どうなんだろうと。PTAというのはそもそも、同じ学校に子どもを預けている保護者と教員が、みんなで学校のために話し合いましょう、という場なんですよ。その目的自体はよいものだと思うし、そこで保護者が分断されてしまうのは残念なことだと思うんですね。 あと、これはおまけ的なことですが、拾えなくなったマンパワーがあるのも事実。『委員をやってみたら、意外に楽しかった』なんてことも、実はよく聞くことなんですよね。これまでかかわることがなかった人たちとのつながりができるし、それがこの先長く地域で暮らすうえで心強い存在になることもあるはずで」
親世代が地域でつながることの重要性
PTAは、学校を通して地域とつながった組織という側面も持っています。 「コロナ禍以降、社会を支える共同体がどんどん空洞化、弱体化していると言われています。そう考えるとPTAというのは、子どもをキーワードにして、みんなが地域でつながれるチャンスを持った集団であるとも言えるんですよ。子どもが同じ学校に通っているというのは強烈な共通項だと僕は思っているし、この強いつながりを持つはずの共同体が協働できないとなると、街づくりはもとより、それこそ災害などがあったときに、難しい局面を乗り越えられない気もするんです。 今後、学校をサポートする力は、PTAという保護者と教員だけの組織にとどまらず、地域全体を巻き込んだもっと大きな集団となる可能性にも期待しています。地域に暮らす保護者たちが学校を中心に集まるって、これからの社会にとっても大きなプラスになると、僕は考えています」
私がやったこと、続けたいこと
・“希望者が楽しく活動”を軸にしたシステムづくり ・地域を動かす共同体としてのPTAのあり方を考える Staff Credit 撮影/柳 香穂 取材・原文/福山雅美 こちらは2024年LEE5月号(4/6発売)「令和のPTA、進化しています!」に掲載の記事です。