「日本の政治は、のど元過ぎれば熱さ忘れる」オンライン国会、結局やらないの? コロナ静まり議論置き去り、背景に憲法改正関連も…
新型コロナウイルスの感染拡大を契機に検討が始まったオンライン国会導入の議論が1年以上、棚上げになっている。コロナ禍が落ち着きを見せ始め、感染症法の位置づけが「5類」に引き下げられたことで緊急性や必要性が薄まったためだ。一方、海外ではオンライン審議を実施する国が急増している。日本の地方議会でもオンラインの委員会審議が増えてきた。なぜ日本の国会だけ議論が下火なのか。その背景に、入れ替わるように盛り上がってきた憲法改正との関連性を指摘する向きもある。(共同通信=荒井英明) ▽「第6波」きっかけに導入議論が本格化 オンライン国会導入の議論が本格化したきっかけは「オミクロン株」の流行だ。昨年2月、新型コロナの新規感染者が1日当たり10万人を超えて「第6波」が到来、感染者がちまたにあふれた。このまま国会議員の感染者が増えたら政策的な決定ができなくなり、社会機能が麻痺しかねない。 警鐘を鳴らしたのは自民党の新藤義孝衆院議員。昨年2月の衆院憲法審査会で、国会の本会議場に入らずオンラインによるリモート出席を活用できないか問題提起した。
▽リモートは憲法で不可と解釈されてきた オンライン国会導入の「壁」となったのは憲法だった。56条1項に「両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」と記されているためだ。 これは衆院、参院の本会議を開いて政府の予算や法律を成立させるには、一定数の国会議員の「出席」が不可欠なことを意味している。定足数は衆院(定数465人)であれば155人、参院(定数248人)であれば83人という計算になる。 とりわけ憲法の定める「出席」は、従来の解釈では議場に国会議員が物理的に「いる」ことが要件とされていた。オンラインのリモート出席による審議や採決はできないことになっているのだ。 ▽解釈変更することで憲法ハードルクリア 与野党は衆院憲法審査会で、これを柔軟に解釈しようと考えた。そこで目を付けたのが、国会議員が自ら議論や表決に参加できれば、出席と認める「機能的出席説」だ。