V8搭載のロータス「エスプリ」が2700万円オーバーに! 予想以上の理由は4台しか存在しないレアモデルだったからでした
エスプリはどんどんアップデートし最後はV8エンジンを搭載
だがエスプリの進化はまだまだ止まることはなかった。1990年モデルでは「ターボSE」が265psのパワースペックとともに誕生し、1992年にはエスプリのIMSA用レーシングマシン、「X180」をベースとする302ps仕様の「スポーツ300」が発表された。そしてターボ系モデルは265psの「S4」を経て、最終的には1996年に「V8」へと進化を遂げることになるのである。 ちなみに今回RMサザビーズがモントレー・オークションに出品した「V8 SE ファイナルエディション」は、V8のラグジュアリーモデルである「SE」をベースとした特別仕様車で、まさにエスプリの究極形ともいうべき1台。エスプリの生産最終年にあたる2003年に完成されたものだ。搭載エンジンは、V8のそれと同様に最高出力で350psを発揮する、3.5LのV型8気筒ツインターボ。ロータスがシリーズ4と呼ぶプラットフォームにはさらなる改良が加えられ、サスペンションには可変式のビルシュタイン製ダンパーにアイバッハ製スプリング、AP製のレーシングブレーキなども装備された。0-100km/h加速を4秒台前半でこなす加速性能も見逃せない。
コンディション抜群! 4台しかないレアカラーも価格に反映
エクステリアやインテリアにもファイナルエディションには独自のフィニッシュが数多く認められる。フロントのメッシュグリルにはシルバー仕上げのステンレススチール製インサートが装着され、リアもシルバー仕上げのロアバランスとマッチしている。 インテリアはエスプリの中で最もラグジュアリー。キルティングレザーシートに加え、ドア内張りにはパーフォレイテッドレザーが採用され、ダッシュボードにはアルミニウム製のエアコンノブが装備されている。短いサテン仕上げのアルミニウム製ギアノブは、ドライバーに素晴らしい触感を提供する。 エスプリ V8 SE ファイナルエディションは、トータルで79台が生産されたが、エクステリアをソリッドブラックペイントで仕上げた例はわずかに4台しかない。出品車はそのうち3台目にあたり、アメリカ・ジョージア州のディーラーから、アトランタのカスタマーに最初に納車された記録が残っている。 現在までの走行距離は1万2020マイル(約1万9232km)。車両に付属される整備記録簿や領収書は、このモデルがいかに大切にされてきたかを物語っている。RMサザビーズが提示した予想落札価格は12万~16万ドル(邦貨換算約1755万円~2300万円)。エスプリの歴史に終止符を打った貴重でコンディションに優れたモデルということでオークションは白熱し、入札は予想落札価格を超えても終わることはなかった。 最終的に入札が止まった数字は18万4800ドル(邦貨換算約2703万円)。それも当然の結果というべきなのだろうか。
山崎元裕(YAMAZAKI Motohiro)