繁殖犬それとも飼い犬 異臭を放ち汚れた体をきれいにすると…人好きのあなたが良縁に恵まれますように
2024年春、福岡県動物愛護センターに悲しい目をしたシニア犬とおぼしきメスのワンコが収容されました。 【写真】収容当初はところどころがハゲていました 体のあちこちがハゲ上がっており、右目が萎縮しており、どうも失明している様子です。そして、右目が痒いのか痛いのか、前脚で右目付近をガシガシ掻いては「キャン!」と甲高い声を上げます。 体中から異臭を放っており、元いた環境や彷徨っていたときの環境の劣悪ぶりを容易に想像することができました。 地元のボランティアチーム・わんにゃんレスキューはぴねす(以下、はぴねす)では、このワンコに「キキちゃん」という名前をつけ引き出すことにし、まずはその汚れた体をきれいにし、その後に医療ケアを施すことにしました。
スッキリしたところで初めて笑顔を見せてくれた
センターから引き出し、協力者と一緒にドッグサロンのオーナー宅まで車で連れていく際も、車内にはキキちゃんの異臭が漂いました。キキちゃんはクレートの中に入れられたことが不満らしく、移動中もギャン鳴き。ドッグサロンのオーナー宅に急ぎ、すぐにその体を洗ってもらいました。 3回のシャンプーで異臭と汚れが落ちたところで、キキちゃんが初めて笑顔を見せてくれました。
元繁殖犬なのか、元多頭飼育崩壊現場出身犬なのか
洗っている最中にわかったことは、何度も出産した跡があったこと。元繁殖犬なのか、それともズサンな多頭飼育現場で過ごしていた元飼い犬なのか。センターに収容された状況や以前の環境のことはよくわからないものの、その体の状態から、満足な世話を受けてきたとは到底思えませんでした。 センターでは雑種として扱われていましたが、尻尾の特徴から、豆柴よりもさらに小さい「小豆柴(あずきしば)」ではないかとも思われました。
他のワンコには興味なし。人間にだけベタベタの甘えん坊
はぴねす代表の家でしばし世話を受けることになったキキちゃんですが、この家にいる先住犬にはいっさい興味を示さず、仮にちょっかいをかけられても我関せずです。 人間のことは大好きな様子で目が合うと自分からグイグイと歩み寄り、べったりとくっついてくる甘えん坊。夜、代表が寝る準備をしていると、ベッドに飛び乗ってきて一緒に寝たがります。 センター収容時の悲しい表情や移動時のギャン鳴きは一切なく、代表に心を許してくれた様子。仮に「柴の血」が入っているとするならば、その特徴である忠実な一面も見え隠れするワンコでした。