青学・原監督「想定以上」に強い 黒田朝日&太田蒼生のダブルエース快走…関東インカレ長距離4種目最多得点
関東の学生長距離ランナーにとって、箱根駅伝と並ぶビッグイベントの関東学生陸上競技対校選手権(通称・関東インカレ)が9~12日に東京・国立競技場などで行われた。今年1月の第100回箱根駅伝で優勝した青学大は長距離4種目で存在感を発揮。同3位の城西大、同4位の東洋大、同5位の国学院大も戦力充実。同2位の駒大は不振も今後の巻き返しが期待される。昨季の箱根上位5校が今季も「5強」か。駅伝シーズンを占う大一番は今年も熱戦だった。 第100回箱根駅伝を総合新記録の完全優勝で制した青学大は、24年度上半期の大一番でも強さを見せつけた。男子1、2部を通じて長距離4種目で最多の29得点を獲得。「想定通り、いや、想定以上です」と原晋監督(57)は選手の奮闘をたたえた。 駒大、国学院大など駅伝強豪校と同じ2部に属する。その5000メートルで鶴川正也(4年)が13分36秒41で優勝した。2年連続で日本人トップの3位だったが、留学生に競り勝ち、表彰台の真ん中に立った。1万メートルでは黒田朝日(3年)が27分52秒02と、21年に近藤幸太郎(現SGH)がマークした28分10秒50の青学大記録を大幅に更新するタイムで日本人トップの3位。1、2部通じて大会史上日本人初の27分台だった。 ハーフマラソンでも太田蒼生(4年)が1時間3分4秒で2位、塩出翔太(3年)が1時間3分56秒で6位と健闘。「昨年はハーフで苦戦(20、23、38位)したが、今年は2人が入賞した。駅伝に直結するハーフで結果を残したことは大きい」と原監督は胸を張った。 3000メートル障害で本間創(2年)が8分54秒58の自己ベストで4位入賞。さらに、中距離種目の1500メートルでも箱根Vアンカーの宇田川瞬矢(3年)が連覇は逃すも2位と意地を見せた。 箱根2区区間賞の黒田朝、3区で日本人歴代最高タイムで区間賞を獲得した太田のダブルエースは、駅伝シーズンに向けて意欲を示す。これまで出雲駅伝は出場なし、全日本大学駅伝は出場1回だけの太田は「今季こそ3大駅伝に全部、出たい」とラストシーズンにかける。黒田朝も「チームとして狙うのは3大駅伝優勝です」と言い切った。 大学駅伝界には「関東インカレを制する者が箱根を制する」という格言がある。青学大は、101回目の箱根路へ向けて順調に歩みを進めている。(竹内 達朗) ◆箱根より歴史 関東インカレは1919年に第1回が行われ、今年が第103回。20年に始まり、今年1月に第100回が行われた箱根駅伝より歴史は長い。例年5月に開催され、各種目1位8点、2位7点…8位1点が与えられ、対校戦で総得点を競う。男子は16校の1部、それ以外の2部、大学院の3部に分けられる。1部の15、16位と2部の1、2位が翌年に入れ替わる。女子はすべての大学が1部、大学院生が2部で入れ替えはない。 男子の1部と2部は短距離などを含めた総合力で決まるため青学大、駒大、国学院大など駅伝をメインに強化している大学は2部。長距離種目においては1部と2部は実力差はない。サッカーのJ1とJ2というよりもプロ野球のセ・リーグとパ・リーグの関係に近い。レース展開も激しい駆け引きがあり、ペースは乱高下する。「速さ」より「強さ」が求められる。
報知新聞社