日本人初のノーベル賞受賞者 湯川秀樹博士の旧宅 研究者らの交流の場に 建設会社が買い取り京大に寄付 安藤忠雄さんが改築
日本人初のノーベル賞受賞者、湯川秀樹博士の旧宅について、京都大学は改築が終わったとして報道陣に公開しました。
「湯川秀樹博士旧宅」は、京都市左京区の下鴨神社近くにあり、1933年に建てられた木造2階建ての住宅です。 大手建設会社の長谷工コーポレーションが親族から買い取って、博士が教授を務めた京都大学に寄付し、建築家の安藤忠雄さんが設計をして改築を進めていました。
博士が各界の識者らと語らった庭や母屋はそのままに「知の世界」をイメージした円形の空間や、功績を伝える展示スペースが設けられています。 京都大学は今後、国内外の研究者らを迎える迎賓施設として活用していくほか、地域住民への特別公開も予定しています。
湯川秀樹博士は陽子と中性子を結びつける「中間子」の存在を予測した研究で、1949年に日本人として初めてノーベル賞を受賞しました。 後年は、世界的な物理学者アインシュタイン博士らとともに核兵器の廃絶を訴え続けました。
博士は1957年ごろから晩年まで家族とこの旧宅で過ごし、桜やモミジなど季節を感じさせる木々が並ぶ庭を愛でながら研究者らと交流を深めたということです。 旧宅は博士が1981年に74歳で死去して以降、親族らの手で管理されてきました。 親族が売却を考えるなか、京都大学は博士の功績や足跡を後世に伝える場所として取得を目指しましたが、予算の確保が難しい状況が続いていました。 そうした中、2021年に長谷工コーポレーションが「企業の社会的責任(CSR)」の一環として買い取り、整備改築のうえ京都大学に寄付すると表明していました。