「9月議会で確保策示す」馳知事が仮設訪問開始 「再建見えない」「暑さ厳しい」 穴水、七尾で住民訴え
馳浩知事は9日、能登半島地震を受けて七尾以北6市町に整備された応急仮設住宅への訪問を始めた。この日は穴水町や七尾市を巡り、地元住民から「資材が高騰し、再建できるか先が見えない」「プレハブの中は暑さが厳しい」と苦境を訴える声を聞いた。知事は県議会9月定例会で自宅再建や公営住宅など住まいの確保策を提案するとし、災害関連死を防ぐ熱中症対策にも意欲を示した。 173世帯356人が暮らす穴水町最大の仮設住宅団地「由比ケ丘団地」では約40人と意見交換した。被災者からは「入居は2年間と聞くが、お金もなくどうすればいいのか」「宅地復旧の支援策があるが役場に聞いても制度がよく分からない」との声が上がった。 馳知事は「住宅が再建できていないのに、仮設を出て行けとは絶対に言わない」と強調。各種相談にも丁寧に応じていくとした。 七尾市の田鶴浜地区コミュニティセンターでは約30人と懇談した。出席者は「3世代で暮らすには仮設住宅が手狭で、家族の心がギスギスする」「感染症が発生したときの隔離場所が用意できない」などと指摘。仮設団地住民がつくる自治会への支援を求める意見もあった。馳知事は、希望者全員が仮設住宅に入居した後、余剰分があれば活用策を考え、感染症対策には全庁挙げて取り組むとした。 穴水町下唐川に整備された木造戸建てふうの仮設住宅や液状化被害を受けた七尾マリンパークも訪れた。 終了後、馳知事は報道陣の取材に「現場に来なければ分からないこともある。仮設が少しでも居心地のよい場所になるよう取り組みたい」と話した。穴水町の訪問には吉村光輝町長と宮下正博、平蔵豊志、堂前利昭各県議、七尾市は茶谷義隆市長と和田内幸三、清水真一路両県議が同行した。 馳知事は10日に珠洲市、能登町、11日は志賀町、12日は輪島市を訪問する。