古い団地がリノベーションで、時代に合わせた住まいにシフト! いま人気の「新しい団地のあり方」とは?
建物の老朽化、住む人の高齢化でかつての活力を失った大規模な住宅団地。空室が目立ち、商店街や買い物施設、飲食施設などが次々と閉鎖され、シャッター街となっている団地も増えている。それが、いま、各種のリノベーションによって様変わりし、特に若い人たちの間で評判になり、注目度が高まっている。(住宅ジャーナリスト・山下和之) 【大手28社を比較】リフォーム会社おすすめランキング
かつての団地は、憧れの的から都会のなかの過疎地に
ほとんど木造の戸建て住宅中心だった1950年代から1960年代にかけて。当時は住宅難の時代であり、狭い住宅が多く、各種設備も旧式のものがほとんどの貧しい住まいだった。そこに、鉄筋コンクリート造で、システムキッチンや水洗トイレなど、当時としては先進的な設備を採用した大規模な住宅団地が登場したのだから、たいへんな人気を集めた。 団地は、全体の敷地が広く、建物と建物の間に公園や植栽などが設けられ、ゆとりある空間が形成されたのも人気に拍車をかけ、物件によっては応募の度に何倍もの希望者が集まり、なかなか入居できない団地もあった。 それが長い年月の間に、外観は古くさくなり、ひび割れなどの老朽化が目立つ建物が増えてきた。 住む人も高齢化し、エレベーターのない団地がほとんどなので、足腰が弱くなった高齢者は次々と団地を離れていった。若い人たちも進学や就職、結婚などで団地を出て行き、人口が減少、団地内の買い物施設や飲食店なども閉鎖や退去が続き、すっかりさびれた団地が目立つようになってきた。 かつて多くの人が憧れた団地の面影は失われ、住まいとしてほとんど顧みられなくなってしまったのだ。団地の多くは活気にあふれていたのが、過疎地化してしまった。
いま、団地の持つポテンシャルが見直されている
それがいま特に、若い世代の間で団地住まいが注目されるようになっているのだ。その最大の要因は、団地の持つポテンシャルを活用して、潜在力を引き出すリノベーションによるところが大きい。 居住部分の専用部は間仕切りや壁紙、古くさい設備などを取り除いて、いったんスケルトン状態にしてから、今風のおしゃれな間取りにして、最新の設備を導入した住宅が増えている。 団地には、公園や緑などのほか、建物内にも集会所などの各種の共用施設がふんだんに設けられている物件が多い。共用施設などは住民の減少などでほとんど活用されないようになり、公園なども子どもがいなくなって、さびれてしまった。 しかし、それがリノベーションによって最新仕様に様変わりし、単体で開発されるマンションなどに比べると格段にゆとりがある、魅力的な空間に変身した。その結果、そこに住むこと、生活することが「エモい」とする若い世代が増えているのだ。