2024年本格ブレイク…俳優・戸塚純貴の唯一無二の魅力とは? 目指すは“令和の喜劇王”? 役者としての軌跡と強みを解説
伊藤沙莉が主演を務めたNHK連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合)、三谷幸喜が5年ぶりにメガホンをとった映画『スオミの話をしよう』。2024年は、両作で重要な役を演じた戸塚純貴の飛躍の年となった。今回はそんな戸塚の役者としての魅力に迫り、類まれな資質を未来への期待を交えて、深掘り解説する。(文・小林久乃) 【写真】戸塚純貴に目が奪われる…貴重な撮りおろし写真はこちら。スペシャルグラビアカット一覧
朝ドラ『虎に翼』で輝いた戸塚純貴の魅力
今年、ブレイクした俳優を聞かれたら河合優実や、宮世琉弥など多くの名前が挙がる。その中で個人的に挙げたいのが「戸塚純貴!」だ。 彼といえば今年、朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)で、轟太一役で注目を浴びた。主人公の猪爪(佐田)寅子(伊藤沙莉)の大学の同級生として登場。戦後、学友の山田よね(土居志央梨)と法律事務所を立ち上げた。自ら、同性愛者であるとカミングアウトしたことも轟の役名を印象づけていた。 男尊女卑バリバリの法科大、戦前後という背景はいつも殺伐さを背中合わせ。そんなときでも場を和ませてくれる、心根の優しい轟の姿は、ご本人とオーバーラップするところがあった。とはいえお仕事をご一緒したことがあるわけではない。『あさイチ』(NHK総合)でトークしていた、面白い好青年の様子しか知らないので、あくまでも想像の範疇。 今回は私が彼のブレイクを淡々と応援していたことを書き連ねたい。
日本の若手俳優界における喜劇的演技の可能性
最初に戸塚純貴の姿を意識したのは、ドラマ『親バカ青春白書』(日本テレビ系、2020)の根来恭介(ねごろ・きょうすけ)役。その前から「あ~、よくドラマに出ている人だ」とい感覚だけはあったけれど、あまり視界に入ってくることはなかった。福田雄一監督の作品でよく見る俳優...というところだろうか。 その感覚を覆したのが『親バカ青春白書』で演じた超・強烈な、大学生・根来。登録者数が20人くらいしかいない、自称・YouTuberといういかにも時代を感じさせるチャラい役。自虐的なシーンやセリフも多かった。連続ドラマの通常運転だと若手のお笑い芸人がキャスティングされそうだけど、選ばれていたのは『第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』(2010)にて「理想の恋人賞」となった、正真正銘のイケメンだ。が、この作品ではそんな様子を微塵も見せることはなく、コメディエンヌに近い演技に徹していた。笑った~。 喜劇的な役を演じられる俳優は、日本国内に少ないように思う。「大人計画」に属するメンバーや、ムロツヨシ、山田孝之、濱田岳 と、純粋に顔立ちの整った俳優と比べると...パッと名前は浮かばず。若手が育っている様子も見受けられない。そこにひょいと笑顔で、頭を突き出してきたのが戸塚純貴だ。