金メダルの決め手はリザーブの“仕事人・永野雄大選手” フェンシング男子フルーレ団体 ロンドン五輪銀メダリストが強さの秘密を解説
フェンシング・男子フルーレ団体で、日本は史上初の金メダルを獲得しました。 準決勝で東京オリンピック金メダルのフランスを撃破し、決勝進出を果たした日本の相手は、イタリア。 背中を含めた「胴体」への攻撃がポイントとなるフルーレ。1試合3分間で、9試合を行い、先に45点を取るか合計ポイントが高い方が勝利します。 【写真13枚】金メダルの決め手はリザーブの“仕事人・永野雄大選手” フェンシング男子フルーレ団体 途中、23対25とイタリアが2点リードする場面もみられましたが、迎えた6試合目に登場した、20歳の若きエース・飯村一輝選手が、連続ポイントを奪うなど30対28で逆転。 高校生時代のクラスメートから呼ばれたという“パリの星”というあだ名通りのプレーを見せました。 一進一退で進む中、迎えた第8試合。リザーブメンバーである永野雄大選手が登場。永野選手はこれがパリ五輪初めての試合となりましたが、5連続ポイントを決めて一気に突き放します。 そして迎えた9試合目…。 実況「飯村が取った!飯村が取った! 45対36、日本金メダル!男子団体フルーレ史上初、日本金メダル獲得!」 再び登場した飯村選手が、45ポイント目を決めて、金メダルを勝ち取りました。 飯村一輝選手(20): やっぱりこの頂点に立ってみないとわからない景色…、すごく苦しい展開もありましたが、僕たち個人戦の屈辱もあって、チーム一丸となって世界一を達成することができて本当によかったと思います。 永野雄大選手(25): 正直夢みたいで…まだ全然信じられないんですけど、いままでコツコツやってきたかいがあったかなっていうふうに思います。はい。
金メダルの立役者は“仕事人永野選手”
個人では世界ランキング上位者ばかりではない日本が、なぜ団体の優勝を勝ち取ることができたのか。2012年ロンドン五輪男子フルーレ団体銀メダリストの三宅諒さんは、その理由をこう話します。 ロンドン五輪銀メダリスト 三宅諒さん: 個人戦は技術や実力に依存するとところがあるんですけども、団体戦というのは戦い方が全く違う。45点獲得に向けて点数を積み重ねていくというところで、割とすぐ終わってしまう個人戦よりも、長丁場で集中力や戦略性が重要になってきます。 ――今回の“決め手”はどこだったのでしょうか? 第8試合の“仕事人永野選手”の起用、攻撃の内容がシンプルかつ正確で、得点を稼げる選手の起用で勝負を決めたと思います。 全選手見どころはあるのですが、今回はリザーブの永野選手が本当に頑張ったと思います。スコア表を見ても、第7試合まではどちらが勝つか分からない攻防をしているんです。そこで急に「永野くん行ってください」と急にまだパリ五輪に出たことのない永野選手が、急にここで出るる。しかも点差が1点勝っている、守っていいのか攻めていいのかも決めなくてはいけないところで、戦わなくてはいけないのはすごく難しいなと思っていて。 (ここで5点取ったことが)日本でフェンシングを知っている人が見たら、すごくびっくりしたんです。うまいこと競ってくれよ、最後の人に回してくれとみているんですけど、ふたをあけてみたら、事実上ここで勝ってしまったといっても過言ではないくらい、「永野くん…」というくらいやってくれた。 MC谷原章介: 相手チーム0ポイントですもんね。 ロンドン五輪銀メダリスト 三宅諒さん: そうです。5-0ということは、ここでしか永野くんは(五輪に)出ていないので、1点も取られずに金メダルを取った唯一のフェンサーになると。 岸本理沙アナウンサー: それを予想して出したんですか? ロンドン五輪銀メダリスト 三宅諒さん: というよりかは、基本的に永野選手を出さないという選択肢も当然あるんですね。そうすると、永野選手は“五輪選手じゃまだない”状態ですね、ですから永野選手が試合に出たことによって、銀メダル以上が永野選手に確定した。そしてここで、頑張ってくださいといわれたのがこの8試合目なので…僕だったらやりたくないです。ここで。 ――攻めるか守るかの場面で、攻めることができた精神力の強さは、元々永野選手が持っていたものですか? 映像を見直すと、永野選手、ここの試合までベンチですっごく小さくなっているんですよ。それでバーンって5-0取りましたってなったら、今度はベンチの後ろで仁王立ちして「いいよいいよ」ってやっているから(笑)でも、それくらいのことはしたなと。 MC谷原章介: 2008年の北京五輪で太田雄貴さんが銀メダルを取ったところから日本のメダルが始まって、そんな中いきなり10数年で、(一大会)5個も取れるくらい強くなったのはなぜなんですか? ロンドン五輪銀メダリスト 三宅諒さん: まずは、外国人コーチの招請というのがかなり大きいと思います。2008年の北京五輪の太田選手にも、オレグというウクライナ人コーチが来て、今ではフランス人コーチ2名とウクライナ人コーチ1名と。何が変わるかというと、海外コーチを招請することによって、海外で合宿しやすくなるんです。今までは日本で練習しようという感じだったんですけど、今回だとフランス人コーチがいたので、事前合宿とかもフランスを理解しているコーチがフランスの練習場とか、マンションなどもアテンドできてしまうので、そういうところでストレスなく試合に向かえたのが、今回のメダルの秘訣だったと思います。 MC谷原章介: 対外試合、海外での試合の組み方なども、海外コーチの方が有利だったりするのですか? ロンドン五輪銀メダリスト 三宅諒さん: そうですね、コーチがいいと、今まではいかせてもらっていたのが、呼べるようになってきていて。パリ五輪前は世界各国の選手が、日本に集まってくるという。本当に時代が変わったという印象です。 (『めざまし8』 2024年8月5日放送より)
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