中国製EVの欧州進出は商用車でも? イヴェコと北汽福田汽車が提携に向けて覚書
小型EV商用車の競争が激化?
EV化で中国メーカーが先行するのは周知の通りで、商用車でも状況は同じ。両社の発表で明言されたものではないが、GVW3.5トン未満でEVを設定する福田のトラックとしては「祥菱(シャンリン)」シリーズがある。GVW2.9トン級の「微型」トラックだ。 中国ではトラックを「微型」「軽型」「中型」「重型」に分類するのが一般的で、微型は日本の「軽トラ」相当とされることがある。ただし、積載量が法規で最大350kgに制限される軽トラに対し、祥菱EVでも積載量は1トン以上。軽トラとは似て非なるトラックである。 また、イヴェコは欧州市場の2.5~3.5トンの電動シャシーキャブについて、韓国の現代自動車ともサプライ契約を締結している。 福田や現代とのコラボなど、イヴェコが小型EV商用車の拡充を急ぐ背景には、EUの政策の影響がある。都市部の環境中立を推進するため、ゼロ・エミッションの小型商用車の需要が急拡大しているからだ。 欧州系の商用車メーカーは同じグループに属する乗用車メーカーなどから小型車のOEM供給を受けることが多いが、フィアットグループから独立したイヴェコは、他メーカーとの提携を模索しているのだ。 小型商用車は日本メーカーが得意とする分野でもあるが、2030年までに市場規模が10倍に達するという予想もあり、中国メーカーを巻き込むことで競争は一層激しくなりそうだ。 なお、イヴェコ・福田の覚書は更なるシナジー創出の可能性も残している。例えば各市場向けに共同でローカライズを行なうことなどだが、こうした評価を実施するのはもう少し先になる。またイヴェコグループのパワートレーンブランドであるFPTインダストリアルを通じた供給等も検討するという。