台風10号で愛媛県災害対策本部会議(詳報)「西日本豪雨の雨量を超える恐れ」
台風10号の接近に伴い、県は29日午後2時半、災害警戒本部を災害対策本部に切り替え本部会議を開いた。 【災害対策本部】 第1回愛媛県災害対策本部会議を開催いたします。非常に強い台風第10号の本県への接近に伴い、県内各地で西日本豪雨の雨量を超える恐れもあり、今後、県内に大きな被害が発生する可能性が高まっていることから、県災害対策本部を設置し、情報共有や今後の対応方針の徹底等を行うため、皆様にご参集いただきました。 まず松山地方気象台から説明をお願いいたします。 【松山地方気象台】 まず台風の位置ですが、12時現在で天草港付近を1時間におよそ15キロの速さで北に進んでおります。この後、明日にかけて進路を東に変えて明日30日、愛媛県に接近する見込みとなっております。ただし、明日、あさって、しあさってというふうに予報円も広くなっておりますので、最悪の場合、四国付近に台風がとどまる可能性もございます。 まず最接近については、明日の夜の初めごろから31日未明にかけてと見積もっています。大雨については、雨量は1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨がいつあっても不思議ではない、そういう時間帯に入っております。それが今日、明日と続きそうな予想になっていますから、明後日についても警報級の非常に激しい雨が予想されています。それから、線状降水帯が発生してもおかしくないような気象状況が今日、明日と続くと予想しております。九州の方でも実際に線状降水帯が発生しておりますので、これから台風接近によって、そういう可能性もあると見ております。 総雨量については、今日の12時から明日の12時までで、南予は少し多めで250ミリ、中東予については200ミリと見積もっております。その後さらに30日12時から31日12時までに全域で300ミリで予想としています。その後、さらに31日12時から9月1日12時までは少し減ってきまして、中東予100ミリ、南予50ミリと見積もっております。 大雨の土砂災害警報については、南予を中心に発表しており、愛南町と久万高原町については土砂災害警戒情報も発表しておるところです。それは明日ぐらいまでは継続し、その後も雨が続きますので、なかなか解除しにくい状況になることも予想されます。 風については、少し台風が弱まりましたので、中予はもしかしたら暴風警報は発表しなくてもいいかもしれないなというところで今検討中です。一方、南予の方は、今日夕方ぐらいには暴風警報を発表する方向で進めております。 最後にまとめますと、ポイントとしては台風の動きが非常に遅いということで影響が長くなる恐れがある。それからもう一つは、現在既にもう降雨量が多くなっています。愛媛県でも多くなっていますが、さらに多くなる見込みで、さらに台風本体の雨雲がかかれば短時間強雨などの可能性も高くなって総雨量も増えてくる。台風の方も停滞するとさらにそういう雨が降りやすい状況というのがさらに続くかもわからないというところで、気象台から発表する最新の資料でもって対応していただいたらと思います。気象台から以上になります。 【災害対策本部】 次に現在把握している被害の状況等につきまして副統括司令から報告をお願いします。 【県防災安全統括部長】 本日13時時点の状況です。人的被害等は現時点では報告されておりません。避難状況ですが、愛南町でレベル4の避難指示、宇和島市、西条市、西予市、松野町、鬼北町、愛南町でレベル3の高齢者等避難が発令されており、74世帯84人の方が避難されております。自主的に避難されている方が40世帯47人となっております。避難対象地区並びに避難者につきましては、今後も増えることが見込まれますが、避難に当たっては命を守る行動をすることを最優先に、避難所への避難、場合によっては自宅内での垂直避難など、適切な避難行動をとることができるよう、市町と連携して呼びかけてまいります。 建物被害も現時点で報告されておりません。降水量ですが、現時点で総雨量が100ミリを超えているのが、久万、小田の獅子越峠、宇和島市、近永、御荘となっております。4月に豊後水道を震源とする地震によりまして、土砂災害警戒情報の発表基準が下がっております愛南町御荘においては8月28日までに、8月の平均雨量を上回っている状態で300ミリを超えております。今回の台風により、南予の24時間雨量としましては29日から30日にかけて250ミリ、30日から31日にかけて300ミリで、31日から9月1日にかけて150ミリ、これは250と300と150を足すと700ミリということで、今の時点で平均の雨量を上回っている中にさらに700ミリの雨量が積み上がる可能性があります。 参考までですが、西日本豪雨災害において7月5~8日までの4日間で最大雨量を記録した宇和で約540ミリとなっておりました。あくまで予測ですが、その他の地域におきましても非常に激しい雨が降るおそれがあります。 続きまして、対応状況を報告いたします。統括司令部では、人の命を守ることを最優先に、市町や防災関係機関と連携し、情報収集や被害状況の把握を行っております。本日は気象台をはじめ、自衛隊、海上保安部、四国総合通信局、四国経済産業局、消防応援活動調整本部からリエゾンを派遣していただいております。 現在、被害等は報告されておりませんが、今回の台風の特徴としまして先ほどご説明もありましたが台風の速度が非常に遅く、停滞する場合もありまして、長雨が継続し、31日から9月1日頃まで影響が続く。線状降水帯は台風の進行方向によって、県内どこで起こってもおかしくない状況であるということなど、大雨の影響が大変懸念されており、県内各地で西日本豪雨の雨量を超える恐れもあります。 【県土木部長】 県管理の道路でございますけれども、崩土で1ヶ所、事前通行規制で2ヶ所の計3ヶ所が全面通行止めとなっておりますけれども、その後の情報収集で、久万高原町の落合久万線で1ヶ所、事前通行規制により東温市の国道494号の1ヶ所で全面通行止めが追加になっています。計5ヶ所となりますけれども、いずれも孤立集落等は発生しておりません。 現在までの対応でございますけれども、県管理の鹿森、黒瀬、玉川、須賀川、山財の5ダム、国管理の野村、鹿野川の2ダムで防災操作を実施中です。 今回の台風の状況等を考慮して、土木対策班では夜間も3分の1の職員の体制を確保し、警戒監視に当たることとしております。なお、大雨注意報が発表されている松山市緑町の土砂災害の現場でございますけれども、現在まで県および松山市の職員により監視を行っておりますけれども、変状はございません。引き続き監視に当たることとしております。 【県教育委員会】 児童生徒や学校施設等に関しまして、現時点での被害の報告はありません。教育活動への影響に関しましては、小中学校では現在、大野ケ原小学校の1校で2学期が始まっておりまして、通常通り授業を実施しています。県立学校では、本日現在で41校で2学期を開始しておりまして、そのうち臨時休校が6校、終業時刻の変更を実施した学校が11校となっております。明日、始業式を予定していた県立学校3校が月曜日に延期しています。 【県総務部長】 私立学校の関係ですが私立学校専修学校ともに被害の報告は入っておりません。 【災害対策本部】 今後の対応につきまして、本部長の指示をお願いいたします。 【中村時広知事】 河川の増水や氾濫、土砂災害にも最大級の警戒が必要ですから、人命救助を最優先に考えていきたい。そのために大事なのが情報収集でございます。特に規模が大きくなった場合には、国や他県、また自衛隊等の支援が必要になる場合もあります。タイムリーな情報がなかったらその判断を下すことができなくなってしまう。統括司令部を通じて、特に大事な重要情報は、速やかに連絡をしていただくよう各市町にお願いを申し上げます。 【災害対策本部】 以上で第1回愛媛県災害対策本部会議を終了します。
愛媛新聞社