母の故郷で飲食店 七尾の自宅半壊、川端さん 伏木で30日、「ほろ馬車」開業
●「住民、観光客に親しまれる店に」 能登半島地震で七尾市青葉台町の自宅が中規模半壊した川端珠実さん(51)が30日、高岡市伏木古国府の空き店舗を改装して「お食事処 ほろ馬車」を開業する。伏木地区は母親の出身地でもあり長年、飲食店で働き、独立の夢を持っていたことから移住、開業を決めた。伏木駅や国宝・勝興寺が近くにある好立地で、川端さんは「住民や観光客に親しまれる店作りに励みたい」と決意を込めた。 川端さんは会社員を経て、七尾、金沢市内のレストランや焼き肉店、食堂などの飲食店で約20年間働き、自分の店を持つ夢を持っていた。 七尾市内に暮らす母親の坂江美幸さん(75)が以前から「伏木に里帰りできる場所がほしい」と話しており、川端さんも伏木には子供の頃から遊びに来て親しみを持っていた。能登半島地震を機に母のふるさとで自分の夢をかなえたいとの思いが膨らみ、開業に踏み切った。 親類が14年前まで伏木矢田で経営していた人気レストラン「幌馬車(ほろばしゃ)」の店名を受け継いだ。 店では幌馬車のランチで人気メニューだった「幌馬車弁当」や「シチューピラフ」を復活させる。夜は能登から仕入れた魚や能登ポークを使った料理、石川県で人気の「とり野菜鍋」なども提供する予定だ。 開業の相談に乗った高岡商工会議所伏木支所の大井克宏支所長は「被災地の伏木地区での開業は住民に元気をもたらす」と期待を込めた。川端さんは「伏木の皆さんに温かく協力してもらえた。独立の夢と母親の願いを叶えられる」と語った。