定住放牧というスタイル 内モンゴル自治区には、遊牧民はもういない
外モンゴル、いわゆるモンゴル国のように遊牧民は、内モンゴル自治区ではもうかなり昔から存在しないそうだ(モンゴル国でも本物の遊牧民は減少している)。現在では遊牧民としては暮らしていないから、もちろんモンゴル国のような移動式のゲルも見ることがない。
1950年代から政府は遊牧生活を禁止し、定住化政策を実施してきた。彼らは馬、牛、羊を放牧することはできるが、遊牧生活はできない。定住放牧という暮らしである。放牧も決められた土地を利用するように政府に取り決められているのが現状である。 ガイドの話によると、「過剰な放牧と鉱山開発が原因で草原の環境が悪化したため、放牧を禁止している地区があるらしい。それでも政府は鉱山開発をやめることはせず、住民にほんの少しの補助金を与えるだけなんだ」と憤慨していた。
放牧は自由にできないと牧草がすぐになくなるので、多くの家畜を所有すること自体難しくなってくるのだと嘆いていた。昔は牧畜だけで十分食べていけて、お金も稼げたと懐かしそうに老婆が語ってくれた。 中国 内モンゴル自治区 2011年7月 ※この記事は村田次郎の「【フォトジャーナル】中国・第三の火薬庫 内モンゴル自治区 村田次郎」の一部を抜粋したものです。