『春になったら』“雅彦”木梨憲武が治療に意欲? 深澤辰哉と見上愛が演じる恋と友情
深い信頼で結ばれた椎名親子
その輪の中心にいるのが椎名親子であり、娘に掛け値なしの愛情を注ぐ父と、父を最優先に考える娘は自己犠牲ではなく深い信頼で結ばれている。岸に片想い中の美奈子(見上愛)は、瞳ファーストで行動する岸を見て吹っ切れたのかもしれない。「友達でいてね」は、たとえ恋人にならなくても、人生をともに歩む相棒への信頼を言葉にしたのだと思う。 美奈子はうれしかったのではないか。近くにいて好きでい続けた相手は、やっぱり素敵な人だった。岸は自分の気持ちを後回しにしても、好きな人が幸せでいてほしいと願う心の持ち主だった。美奈子は岸のことがもっと好きになったかもしれない。異性としてだけではなく、人間としても。 恋心を言い出せなくて10年を過ごした20代の雅彦と岸には重なる部分もあって、岸のためにもう一度チャンスが来てほしいと願う自分がいる。岸は一見すると本当にこんな人がいるのかと考えてしまうくらい奥手な性格だが、一周回って本当にいそうな愛嬌のあるキャラに仕上げたのは深澤辰哉の功績だろう。一方の見上愛は今作で恋と友情のジレンマを一身に担う。主人公の隣にいる親友二人の奥深さを感じる第6話だった。
石河コウヘイ