孫とかくれんぼ中に異変に気が付いた…緑内障は日常では自覚症状ゼロ【一生見える目をつくる】
【一生見える目をつくる】#35 緑内障は、視神経の機能が弱り失明することもあり得る病気。部分的に見えなくなったり、見える範囲が少しずつ狭くなっていきます。 バイオリニスト古澤巖さんは10年前に緑内障が発覚「音楽家でよかった」と 初期段階では自分ではなかなか気づくことができず、痛みがあったり目が腫れることもありません。突然目が見えなくなるということもない。国内では失明原因の1位でもあり、だからこそ、眼科医は「緑内障は怖い」という認識を持っています。 緑内障の治療でもっとも大切なのは、とにかく早い段階で見つけるということ。治療でできるのは進行を遅くするだけで、失った視野は取り戻せません。早期発見できるかどうかが運命の分かれ道なのです。 末期になるまで自覚症状がないため、リスクが高くなる40歳代以降は2~3年に1回、眼科で検査を受けてください。さらには、いろんな製薬会社が、簡単にできる簡易チェックツールをホームページに掲載していますので、気になる方は試してみてもよいでしょう。 また、次の項目も緑内障の疑いがあるかどうかの目安となります。 ・片目で見たときに、物がかすんで見えたり、見えづらい。右目と左目で見え方に差がある ・視力が落ちたと感じる ・眼圧が高いといわれたことがある ・人や物にぶつかるようになった ・階段など段差がわかりにくくなった ・両親やきょうだいに緑内障の人がいる あくまでも目安ですが、当てはまるものが多かったり、前述した緑内障チェックで「緑内障の疑いがある」という結果が出た場合はできるだけ早く眼科に行ってください。 病院で緑内障発見のために行う検査は次の3つです。 ・眼圧検査──眼圧の値を把握する検査 ・OCT検査──OCT(光干渉断層計)という機器で網膜の神経線維の厚さを測定します。網膜の神経線維が薄くなっていれば緑内障の疑いです。視野に異常が出る前に緑内障を発見できる画期的な検査方法です ・視野検査──視野の欠けや感度の低下しているところはないかをチェックする検査 当クリニックにいらした患者さんの例を挙げましょう。 70代の男性。ご自身ではまったく緑内障の自覚症状はなかったのですが、ある日遊びに来たお孫さんとかくれんぼをしていて、扉の陰から片目でお孫さんの様子を見た。そのときに、明らかに自分の視野が狭くなっていて見えない部分があることに気が付いたんだそうです。慌てて病院にいらっしゃいました。いまも目薬による治療を続けられています。 (荒井宏幸/クイーンズ・アイ・クリニック院長)