米国資産は“軽度のバブル”? FEDが懸命に探す“利上げ正当化”の根拠
FED高官はBISビューを一部肯定か? 12月の利上げの可能性は?
ところで筆者が、なぜ今こうした議論をしているかといえば、それはBISビューを、イエレンFRB議長をはじめとするFED高官が一部肯定している可能性があるからです。それは直近の連邦公開市場委員会(FOMC)で、一部参加者から株価バリュエーションや商業用不動産(ローン)市場の過熱感を懸念する声が上がっていたからです。 そうした金融不均衡に対する懸念が指摘された背景の一つとして考えられるのが、利上げをする根拠が乏しいことです。現在進行中の金融政策の正常化を巡っては、不可解なほど鈍い物価上昇率が利上げの阻害要因となっているため、FEDとしては利上げを正当化する材料が欲しいというのが実情です。さすがに、資産価格の過熱を明示的に牽制する可能性は極めて低いですが、金融政策の正常化を進める上で、金融不均衡の解消が、その根拠の一つに加えられる可能性はあるでしょう。 現在、FEDが12月に利上げを再開するか否かについて、市場関係者の予想は二分しています。そうしたなか、イエレンFRB議長が資産価格の動向を重視する構えをみせれば、インフレ率が停滞するなかでも、12月に利上げを再開する可能性が高まると考えられます。 (第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。