第93回選抜高校野球 京都国際 「チーム、より強くなる」 元府高野連会長がエール /京都
<センバツ2021> 開催中の第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)で、京都国際は歴史的な甲子園初勝利を飾った。前身の京都韓国学園時代に、初の公式戦で記録的大敗を喫してから約22年。当時、府高野連会長だった山本勝さん(80)=亀岡市=の記憶にも、必死にプレーする選手たちの姿は焼き付いている。 1999年夏の京都大会、創部1年目で挑んだ初の公式戦の相手は、前年夏の甲子園で準優勝の京都成章。結果は0―34と大敗。「初出場のチームが、どんな野球をするのか」と試合前から関心はあったが、試合が進むにつれて開く点差に、選手らの気持ちを心配した。が、自分たちの力を発揮しようと必死な姿勢に心を動かされた。「こんなに一生懸命プレーできるチームなら、いつかきっと強くなるな」。試合が終わると、バックネット裏から拍手を送った。 2021年1月29日、京都国際のセンバツ出場が決まると、約22年前の光景や当時の気持ちが一気によみがえった。「30失点以上していたあのチームが甲子園に行くと思うと感慨深くて」。すぐに学校宛てに手紙を出した。「初の甲子園出場の朗報を待ち続けていました。健闘を祈っています」。そうつづると、学校側からもお礼の連絡があった。 3月24日の初戦突破、27日の2回戦惜敗を、山本さんは自宅のテレビで観戦した。「初めての甲子園で本当によく頑張っていた。これを経験に、チームはより強くなると思う」。あの時、「強くなる」と感じた気持ちに20年以上かけて応えたナインたちに、山本さんはエールを送った。【中島怜子】 〔京都版〕