「小さな石」大きな結果 聖光学院、磨き上げたバント 全員野球で「全国強豪倒す」 高校野球福島大会
第１０６回全国高校野球選手権福島大会を３連覇した聖光学院は、全員野球で甲子園への切符をつかみ取った。バントも武器に仕上げ、勝ち上がった。ナインは自身を「小さな石」と例え、個々の力を結集させ「大岩」を目指した。「自分たちの野球を貫き、全国の強豪を倒す」と意気込む。学法石川は２５年ぶりの栄冠を逃したが、１点を返す意地を見せた。 決勝九回２死、竹田一遥（３年）が最後の打者のゴロを一塁に送球すると、ナインは叫びながら、主戦高野結羽（３年）の元に駆け寄った。「ナイスピッチ」。主将の佐藤羅天（らま、３年）は満面の笑みで、目を潤ませた高野と拳を交わした。閉会式後の胴上げで佐藤は喜びを全身で表現した。 聖光学院は昨年の秋季大会直後、「さざれ石」をスローガンに掲げた。国歌にも歌われる「小さな石」を意味する言葉で、「小さな自分たちがまとまることで大きな力を出す」との思いを込めた。 今大会のチーム打率は３割２分５厘。昨年の４割２分８厘を下回った。それでも勝ち進めたのは、バントの技術を磨いたからだ。チームとして最も練習時間を費やした。
今大会直前には、野手がそれぞれ２球以内に連続でスクイズを決めるまで終わらない「プレッシャーバント」と呼ばれる特訓を繰り広げた。失敗したメンバーは、フォームなどの基礎を再確認。努力が功を奏し、計５戦で２４バントを成功させた。決勝の初回、佐山瑞来（３年）がバントで先頭打者の竹田を二塁に送り、値千金の先制点につなげて勝利を手繰り寄せた。 選手の精神力を養うために主将を３度変え、主力選手に責任感を持たせた。昨年の甲子園終了後に、佐藤が主将に就任。その後、竹田、青柳羽瑠（３年）と大役が入れ替わり、佐藤が６月下旬に復帰した。佐藤は「精神的な支柱になる」と心境が変化し、積極的に声かけするようになったという。決勝では高野をリード面で支え、堅守の要という役割をこなした。甲子園に向け、「これまでの歩みを全てぶつけ、日本一をひたすらに目指す」と力を込めた。 ■「春の忘れ物」持ち帰れず 学法石川、初回の失点痛手
