米、中国軍関連企業にテンセントやCATLなど指定 中国反発
Michael Martina David Shepardson Karen Freifeld [ワシントン/ニューヨーク 6日 ロイター] - 米国防総省は6日、中国軍との協力が疑われる企業リストに、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)を含む中国ハイテク関連企業を追加したと発表した。 同省が公表した文書によると、テンセントのほか、車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)、半導体メーカーのCXMT、移遠通信(ケクテル・ワイヤレス)、ドローンメーカーの深セン市道通智能航空技術(オーテル・ロボティクス)、海運最大手の中遠海運(コスコ・シッピング・ホールディングス)などが追加された。 また、国有石油大手、中国海洋石油(CNOOC)傘下の企業2社もリストに追加された。 「1260H」と呼ばれる同リストは毎年改定され、現時点で134社が記載されている。リスト掲載が直ちに禁止措置につながるわけではないが、米企業・団体にとっては掲載企業と取引するリスクについて強い警告となる。 テンセントはリストへの追加について「明らかな間違い」とし、「当社は軍事企業でも軍のサプライヤーでもない。制裁や輸出管理と異なり、このリストへの追加は当社事業に影響しない」と述べた。 CATLも「軍事関連のいかなる活動にも関与していない」とし、指定は誤りだと主張した。 ケクテル・ワイヤレスの広報は「いかなる国の軍とも協力していない。国防総省に対し、明らかに誤りである指定の再考を求める」とした。 米議員はCATLなどを同リストに追加するよう昨年から国防総省に求めていた。フォード・モーターはミシガン州に車載電池工場を建設中だが、CATLの技術供与を受けて電池生産を行う計画に議員から懸念の声が上がっている。フォードはコメント要請に返答していない。 <中国、「差別的慣行」の是正要求> 在ワシントンの中国大使館は、今回の措置に反対すると表明。米国に対し「差別的慣行」の是正を求めた上で、自国企業の正当な権利と利益を守ると述べた。 モーニングスターの株式担当シニアアナリスト、アイバン・スー氏は、米国防総省が中国のスマートフォンメーカー、小米(シャオミ)に提訴され、2021年に同社をリストから除外したことに触れ、テンセントも米裁判所を通じて除外を勝ち取るチャンスが十分にあるが、今回リストに掲載されたことで企業イメージが悪化する可能性があるとの見方を示した。 ジェフリーズは、リストの目的は国防総省の見解を表明することであり、他の政府部門が参考にする可能性があると指摘。中国企業にとって最も深刻なシナリオは、投資が禁止されることだが、全てはトランプ次期政権にかかっていると述べた。 米シンクタンク「民主主義防衛財団」の中国専門家、クレイグ・シングルトン氏は、米企業が増え続ける中国企業とビジネスを行うのは「無謀」であることを今回の措置は示していると述べた。