“白いダイヤ”争奪戦…ウユニ塩湖に異変 “脱炭素社会”のカギ「リチウム」 中国も獲得に躍起
日テレNEWS
「地球沸騰化の時代がきた」と言われるなか、国連では20日、気候変動対策を話し合う会合が開かれました。「脱炭素社会」実現へカギを握る資源のひとつが、「白いダイヤモンド」とも呼ばれる「リチウム」です。その激しい争奪戦により、豊かで多様な自然に深刻な影響が出始めています。
■ウユニ塩湖…衛星写真に「不自然な四角」
南米・ボリビア南西部のウユニ塩湖では、雨期には、水面に映る鏡張りの絶景が見られる。世界中で人気のこの観光地で、今“ある異変”が起きているといいます。 ウユニ塩湖近くの住民 「少し心配です。将来どうなるのか、私たちに説明すべきです」 その心配の種は、NASAが撮影した衛星写真に捉えられていました。ウユニ塩湖の一部に、不自然に四角く区切られた場所があります。ここでいったい何が行われているのか。 カメラは日本の“裏側”、南米大陸へと向かいました。
■“脱炭素”実現のカギ…リチウム 採掘の現場へ…
アンデス山脈に囲まれ、標高4000mを超える高地を走ること8時間あまり。やがて地面が真っ白な“塩の大地”、ウユニ塩湖にたどり着きました。 衛星写真の場所には、リチウム生産の新たなプラントが建設されていて、近づくことはできませんが、その奥ではリチウムの採掘が行われていました。 その希少性から“白いダイヤモンド”とも呼ばれるリチウム。電気自動車やパソコン、スマートフォンなどのバッテリーの原料となります。 リチウムイオン電池は、太陽光などの再生可能エネルギーを効率よく蓄電できることなどから「脱炭素社会」実現のカギとされています。
■世界の埋蔵量6割が集中 「リチウムトライアングル」
そのリチウムが溶け出した大量の地下水が、琵琶湖のおよそ16倍、世界で最も大きな塩湖であるウユニ塩湖の下に眠っているのです。 米地質調査所によると、塩湖が点在するボリビア、チリ、アルゼンチンの国境地帯は「リチウムトライアングル」と呼ばれ、世界の埋蔵量のおよそ6割が集中。近年、各国による激しい争奪戦が起きています。
■開発加速 巨額のチャイナマネー
中でもリチウムの確保に躍起になっているのが、電気自動車への転換で世界をリードする中国です。これまで本格的な開発が行われてこなかったウユニ塩湖でも近年、巨額のチャイナマネーが投じられ、開発が加速しています。 観光と塩の生産が主な産業だった地元の村の住民からは、「ボリビアはリチウムによって発展するでしょう」と開発を歓迎する声があがりました。その一方で不安の声も出ています。 ウユニ塩湖の観光ガイド 「観光業に携わる私たちは、景観が損なわれるのではないかと少し心配しています」