柳田温泉病院「必ず再開」 転院患者の要望受け
●被害大きい建物再建へ、ネットで資金募る 能登半島地震の影響で休診している柳田温泉病院(能登町)が、診療再開を目指して動き出した。施設の被害が大きく、地震前に入院していた143人は全員が転院。運営する医療法人によると、一時は閉院することも考えたが、「また能登に戻りたい」とする患者や家族の声を受けて再建を決意した。ネットを通じて資金を募り、必要な医療サービスを提供できる環境を整備する。 【写真】地震で建物に被害が出た柳田温泉病院。スプリンクラーの誤作動で内部は水浸しになった=1月22日(同病院提供) 柳田温泉病院は、医療法人社団持木会が1982(昭和57)年に開院した。内科、外科、整形外科、リハビリテーション科のほか、敷地内には介護医療院があり、奥能登地域の医療と介護を支えてきた。 1月1日の地震発生直後、院内には多くの入院患者がおり、職員や消防職員らで1階の安全な場所まで移動させた。2日以降は水や食料をかき集めて患者の命をつないだが、壁や天井が壊れ、断水で風呂や調理場も使えないことから他の病院に移すことに決めた。 災害派遣医療チーム「DMAT」の協力を受け、19日までに患者全員を転院させた後、再開が見通せず、病院を閉めるという意見も院内から出た。しかし、患者や家族から「また戻ってきたい」との声を聞き、思いとどまったという。 「規模は小さくなっても、必ず復活させたい」。そう思った持木大理事長は1月中旬、クラウドファンディングによる資金調達を決めた。目標額は5千万円。資金は建物の再建や傷んだ設備購入などに充てる予定で、9日現在で1500万円以上が集まった。4月中旬まで続けるという。 約160人いる病院職員のうち、3分の2以上は「病院が復旧したら再び勤務したい」と話している。持木理事長は「笑顔で『おかえり』とみんなを迎えられるよう努力していく」と語った。