溝口善兵衛氏

　島根県知事を3期12年務めた溝口善兵衛（みぞぐち・ぜんべえ）氏が20日午前11時20分、東京都内で死去した。78歳。益田市出身。関係者によると、葬儀は27日に都内で親族のみで行う。 　溝口氏は2007年4月に島根県知事に初当選。厳しかった財政の健全化に重点的に取り組みながら、出雲大社（出雲市）の「平成の大遷宮」などを機に観光振興に尽力した。人口減少が進む中、雇用の確保や子育て支援の充実も図った。パフォーマンスより実務を重視し、知事として地域の実情を把握する大切さを強調していた。 　在任中にJR西日本が三江線の廃止を表明して運行を終了。中国電力島根原発（松江市）を巡っては、1号機の廃炉計画を最終了解したほか、2号機の再稼働と3号機の新規稼働の前提となる審査申請を了解した。17年に食道がんを公表。健康面や年齢を理由に18年に引退を表明し、19年4月に任期満了で退任した。 　死因について、県は「老衰」と発表した。 　東京大経済学部卒。1968年に大蔵省（現財務省）入省。鳥取税務署長や大臣官房長などを経て2003年に財務官。退官して国際金融情報センター理事長を務めた後に知事となった。知事退任後は東京に拠点を構えていた。