『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』は珍しい“キッド視点”に 遊び心溢れるキャスティングも
1月5日より『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』が全国の映画館で公開されている。 【写真】「君にオレの芸術<マジック>がわかるかな?」キッド版ポスタービジュアル 2023年公開の『名探偵コナン 黒鉄の魚影』で同シリーズとしては最高となる138億円の興行収入を達成した劇場版『名探偵コナン』シリーズ。『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』は『名探偵コナン』TVシリーズの特別編集版作品だ。2023年の『名探偵コナン 灰原哀物語~黒鉄のミステリートレイン~」』、2022年の『名探偵コナン 本庁の刑事恋物語~結婚前夜~』に続く、『名探偵コナン』シリーズでは定番となったTVシリーズの特別編集版。今回は4月12日より公開の劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』でも鍵を握るキャラクターである怪盗キッドとコナンのこれまでの足跡を辿る作品となっている。 今回の『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』では、コナンと怪盗キッドの初対決となった『コナン vs. 怪盗キッド』、コナンがまだ新一だった頃の事件『工藤新一 vs. 怪盗キッド』、そして『怪盗キッドの驚異空中歩行』の3つのエピソードから構成されている。注目したいのは『工藤新一 vs. 怪盗キッド』のエピソードだ。『名探偵コナン』では通常、ミステリアスな怪盗として描かれる怪盗キッド。そのミステリアスさ故に、彼からの視点で物語が進行することは極めて稀だ。この『工藤新一 vs. 怪盗キッド』のエピソードは『名探偵コナン』史上でも他に類を見ない“怪盗キッド視点”のエピソードとなっており、怪盗キッド=黒羽快斗の日常や、怪盗キッドから見た事件を垣間見ることができる。 特筆すべきは快斗の同級生たちの声のキャスティング。『名探偵コナン』シリーズではこれまでも、赤井秀一や安室透といった『機動戦士ガンダム』から着想を得たキャラクターの、実際に『機動戦士ガンダム』の声優をキャスティングするなど、遊び心のある抜擢もひとつの持ち味となっていたが、本エピソードのキャスティングも『名探偵コナン』ならではの遊び心を感じさせる。快斗の幼なじみであり、キッドを追う警部・中森銀三の娘である中森青子の声を演じるのは、江戸川コナンの声を担当する高山みなみ。快斗の同級生で魔法使いの小泉紅子の声を演じるのは、灰原哀の声を担当する林原めぐみ。青子の親友である桃井恵子の声を演じるのは吉田歩美の声を演じる岩居由希子。『名探偵コナン』シリーズにおいて聞き馴染みのある“あの声”が全く違うキャラクターを演じているというだけでコナンファンとしてはワクワクするはずだ。特に普段は江戸川コナンを演じている高山みなみが女性キャラである青森青子を演じているのは新鮮な気持ちになる。 『工藤新一 vs. 怪盗キッド』はコナンになる前の新一とキッドが実は対決していたという重要なエピソードとなっている。普段『名探偵コナン』シリーズで描かれる新一とは一味違う、普段以上に冷静に、淡々とキッドを追い詰める新一の姿。そしてそんな新一にジワジワと追い詰められるキッドの姿。普段観ることのできないスペシャルな『工藤新一 vs. 怪盗キッド』のエピソードは必見だ。 『怪盗キッドの驚異空中歩行』のエピソードでは、一転して神出鬼没でミステリアスな『コナン』シリーズにおけるいつもの怪盗キッドが描かれる。空中を闊歩するという離れ業で獲物を狙うキッドと、そのトリックを暴くために奔走するコナン。こちらは『名探偵コナン』シリーズでは定番の構図だが、だからこそコナンとキッドのライバルとしての関係性がより際立つエピソードとなっている。 劇場版『名探偵コナン』シリーズでは定番となっている「俺は高校生探偵~」から始まるあらすじのオープニング映像は、本作限りの特別仕様。『灰原哀物語』では、灰原哀が担当したこのオープニング映像が話題となっていたが、本作では怪盗キッド=黒羽快斗が担当。エンディングでは工藤新一の父である工藤優作と、黒羽快斗の父である黒羽盗一の関係もなぞらえたコナンとキッドの新規映像を観ることもできる。そして『100万ドルの五稜星』へと繋がる映像も。『100万ドルの五稜星』への前哨戦としてはもちろん、怪盗キッドの魅力を再確認できる作品にも仕上がっている『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』。TVシリーズの映像だからこそ、劇場の大画面、大音量で観てほしい。
ふじもと