スペインに次々流れ着くマイクロプラスチック 中央政府は嬉しそう?
*この記事は、現地発の情報プラットフォーム「WorldVoice(2024年1月16日付)」の投稿を一部編集して転載しています。 【動画】砂浜に漂着したペレットを拾い集めるボランティアたち エコや持続可能性に強いこだわりを見せるヨーロッパ。ストローや持ち帰り用の袋は紙になり、ペットボトルのキャップはリサイクルされるように注ぎ口から外れない仕様に変更されました。【松尾彩香(スペイン在住ブロガー)】 スペインに住んでいるとエコやリサイクルをアピールするようなマーケティングを頻繁に目にし、国や企業の意識の高さを感じます。しかしそんなエコ志向の高いスペインのビーチで今、このエコに対する努力を台無しにしてしまうようなとんでもない事態が起こっているのです。 <ビーチが樹脂ペレットまみれ> 12月8日、スペイン南部のアルヘシラスの港からオランダ・ロッテルダムに向けて出港した貨物船がポルトガル沖で荒波に襲われました。この荒波によって積んでいたコンテナのうち7つが海に落下。さらにそのうち1つのコンテナの扉が衝撃で開いてしまい、積み荷が海に流れ出てしまったのです。 運の悪いことに、このコンテナに積まれていたのは重さ26トンを超える樹脂ペレット。樹脂ペレットとは5ミリ程度の大きさの白い粒状の物質で、プラスチック製品の原料として使われるものです。 このペレットは「マイクロプラスチック」と呼ばれる物質に分類され、海の汚染や海洋生態系に悪影響を与えている原因のひとつとされているような物質です。そんなペレットがこの事故により大量に海に流れ出てしまい、現在ガリシア州やアストゥリアス州などのいくつもの海岸でこのペレットが大量に漂着していることが確認され、スペイン国民を心配させる事態となっています。 <人体への影響も?> 最近環境汚染の原因として名前を聞くことが増えた「マイクロプラスチック」。今の段階ではこのプラスチックが人体に与える具体的な影響はまだ解明されていないようです。 しかし有害物質を含んだマイクロプラスチックを魚が卵と間違えて食べてしまい、その魚を我々人間が食べることによって有害な化学物質が人間の身体に蓄積されていく可能性はすでに指摘されているということで、今回起きたこの出来事は環境汚染だけでなく人体や生命体へも影響を与える非常事態と言っても過言ではないかもしれません。 このマイクロプラスチックの大量漂着が初めに確認されたガリシア州。州政府はこの樹脂ペレットを「食しても健康に害はない」と発表し、騒ぎを落ち着けようと必死ですが、環境NGO団体や専門家らはこの樹脂ペレットがこれからもたらすであろう害に警鐘を鳴らしています。