国産車では唯一無二【スズキ RE5】ロータリーエンジン搭載バイクはなぜこの1台限りだったのか
技術のアピールにも注力された1974年版スズキRE5の海外向け資料
RE5量産のため、大きく舵を切ったスズキは、前述したように脅威の耐久テストを実施し、製造ラインにも専用のコストをかけて、RE5の量産に精力を傾けた。そうした意気込みを象徴するかのように、海外向けに用意されたカタログ資料も、全30ページで構成される非常に豪華なものだった。ここでは、その一部を紹介しよう。 (カタログ内容説明) ■RE5のカタログは相当に豪華で、ローター+Sマークが目を引くシルバーの表紙と裏表紙にはヘアースクラッチ加工が施される。冒頭の言葉は、「ロードの革命、画期的な走り」で、ページをめくると当時の社長だった鈴木実治郎氏が登場し、既存のレシプロエンジンとはまったく異なる、ロータリーエンジンの先進性をアピール。6ページ目ではロータリーエンジンの基本原理を掲載。 ■10ページの見出しは「いかにして作り上げたか──人間と機械の新たな絆」で、ロータリーエンジンを量産化する困難さとスズキの技術力を強調。12ページの見出しは「優れた生産設備──新工場でのオートメーション機械の正確さ」で、ロータリーエンジンの耐久性を高めるうえで重要な要素や、既存のレシプロエンジンとは異なる専用の設備が必要になることが記されている。 【スズキRE5(1974)主要諸元】 ■エンジン 水油冷シングルローターRE 排気量497cc 圧縮比8.6 燃料供給装置:ミクニ18-32HHD 点火方式CDI 始動方式セル・キック併用 ■性能 最高出力62ps/6500rpm 最大トルク7.6kgm/3500rpm ■変速機 5段リターン 変速比1速2.846 2速1.736 3速1.363 4速1.125 5速0.923 一次減速比1.652 二次減速比3.071 ■寸法・重量 全長2220 全幅870 全高1170 軸距1500 最低地上高170 シート高─(各mm) キャスター27° トレール108mm タイヤF3.25-H19-4PR R4.00-H18-4PR 乾燥重量230kg ■容量 燃料タンク17L エンジンオイル2.2L ■発売当時価格 2475米ドル 文●中村友彦 写真/資料●八重洲出版アーカイブ、スズキ 編集●阪本一史