「新NISA一辺倒」の50代が知らないと大損する、老後資金の“賢い貯め方”
内田さんも、やや不安になってきました。50代ともなれば、これまでとは方針を変え、安定性の高い商品を選んで投資するべきでした。 前述の調査によると、実は5年先のことを考えている日本人は4割もいて、欧米の1割あまりよりも高い比率となっています。それなのに内田さんは、毎日会社で膨大な仕事に追われているため、将来のことを考えている余裕がありませんでした。そのせいか、投資方法も危なっかしいまま。定年後も仕事をしなければ収入がなくなり、年金と貯金を崩して生活するライフスタイルを余儀なくされるという、覚悟がなかったのです。 株価が下がって利益が出ず損をした場合、新NISAでは損益通算(複数の口座で生まれた利益と損失を合算)や繰り越し(損益通算後、損失がある場合、最大3年間その損失を繰り越して、翌年の利益から差し引ける)控除ができません。すでに非課税枠だからという理由で、一般の口座でできる損益通算や繰り越し控除の恩恵を受けることができないのです。 そのため、50代後半の今から、万が一損したときのことを考えて、新NISA口座でアクティブ型に投資をしてもいいのかどうかは、慎重に考えたほうがいいでしょう。 ● 50代後半、今から何に 投資したらいいのか 内田さんは、さすがに不祥事企業に投資するのはかなりのハイリスクだと気付きました。日本企業の倒産件数も増加しています。少し反省して、投資のセミナーに足を運んでみました。 いくつかのセミナーに出向いてみると「日本の国力は弱まっていて長期的な円安傾向にあるが、どこまで安くなるのか、いつまで続くのか、ハッキリしていない」「株価はもう天井と見るアナリストもいたり、まだまだというアナリストもいたりしてわからない」ということでした。 「これまでは円安で多くの企業の株価が上がり、上昇局面だったので、どんな人でも株価上昇の波に乗れていただけで、自分が本当に見極める目があったとは言えない」とも言われました。内田さんは、これまでのことを振り返り、自分の投資眼は根拠のない過信だったのではないかと思い始めました。