<頂点へ>2020センバツ明石商/5止 2本柱、本領見せれば /兵庫
2019年10月27日の奈良県橿原市・佐藤薬品スタジアム。近畿大会の1回戦で東山(京都)に快勝した明石商は、名門・大阪桐蔭(大阪第1代表)との準々決勝に中5日で臨んだ。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 前の試合で組み替えられた打線は、この日も機能した。一回、中堅手の来田涼斗主将(2年)が先頭で四球を選ぶと、続く井上隼斗遊撃手(2年)が送りバント。2死後、4番の福本綺羅(ひかる)右翼手(1年)が右中間に三塁打を放ち、幸先よく先制した。二回には来田主将の2点二塁打で加点し、序盤は明石商ペースで進んだ。 しかし、先発の中森俊介投手(2年)が三回に追いつかれる。2死から死球と安打で一、二塁とされると、1年時から名門のクリーンアップを務める3番・西野力矢三塁手(2年)に右越え同点3ランを許した。さらに六回にはバッテリーミスで失点。これが決勝点となり、3―4で惜敗した。この秋は近畿8強に終わった。 東山との1回戦後、狭間善徳監督は「中森と来田には、もっとやってもらわなければ」と厳しく注文した。2人の準々決勝での出来は、どうだったか。 まずは中森投手。三回の一発は、両翼93メートルの狭い球場だからこそ。本人は「あそこまで飛ばされたら負け」と潔かったが、五回以降は強力打線を1安打に抑えて意地を見せた。 来田主将も二回の2点二塁打で本来の勝負強さを見せつけた。2死一、二塁でフルカウントからの内角高めの直球をうまくさばき、打球を左翼線に運んだ。 県大会では3番を打った来田主将。5試合で16打数7安打3打点と上々の成績だったが、本人は不満だった。「長打を狙って球を待ちすぎ、積極的に振れなかった」。長打は二塁打1本にとどまっていた。 狭間監督も来田主将の「不調」を見抜き、「好きに打たせよう」と近畿大会では打順を1番に戻した。来田主将は準々決勝で秋2本目の長打を記録。監督の期待にきっちりと応えてみせた。 今年1月24日の選考委員会では、来田主将、中森投手を軸とする総合力の高さが評価され、明石商の2年連続3回目の出場が決まった。「センバツでは、いいチームだと思わせるような野球をお見せしたい」。狭間監督は吉報に沸くナインを見つめながら力強く語り、初の頂点を見据えた。=おわり ◇ この連載は韓光勲が担当しました。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇19年秋季近畿大会の記録 ▽準々決勝(10月27日、奈良県橿原市・佐藤薬品スタジアム) 明石商 120000000=3 00300100×ー4 大阪桐蔭 (明)中森―名村 (大)藤江―清水 ▽本塁打 西野(大) ▽三塁打 福本(明) ▽二塁打 来田(明) 〔神戸版〕