大卒・大企業勤務のサラリーマン、定年退職金「2,200万円」に心弾ませるも…わずか2ヵ月で〈通帳残高ゼロ円〉になった「まさかの理由」
退職金を一気に“溶かしてしまう”理由とは?
――退職金を溶かしてしまう その主な理由として挙げられるのが「老後の資産づくりと思って」と、投資に回すこと。特に投資経験の浅い人ほど、多額、なかには全額を投資にまわしてしまうケースもあるようです。退職金で大逆転を目指す人もいますが、コツコツと資産形成を進め、貯蓄もそれなりにという人であれば、退職金はある意味、余裕資金。無理な投資で多少損をしても……そんな気持ちになるのかもしれません。 退職金に限らず、大金を手にした人、または元から大金を持っている人は、傍から見れば無理だと思うような投資をしてしまいがち。また、そこに付けこむ人たちも。 ――被害額850万円(茨城県60代男性) ――被害額2,424万円(群馬県60代女性) ――被害額5,190万円(広島県50代男性) ――被害額2億3,000万円(京都府70代女性) 随分と多額ですが、これは何かというと、いま話題になっているSNS型投資による被害。SNSのメッセージ機能を通じて、メッセージのやり取りを行い、投資詐欺を行うというもので、あたかも著名人が勧めているかのように装い、現金を奪い取る手法が知られています。 警察庁の調べによると、今年1~3月のSNS型投資詐欺の認知件数は1,700件。被害総額は約219.3億円で、被害1件アタリ1,290万円と、被害が急拡大しています。ちなみに被害最高額は4億5,000万円。被害者は男性がやや多く、年齢層は男女共に50~60歳代が半数を超えます。 被害者との最初の接触は、「バナー等広告」が最多で49.6%。「なんかよく目にするけど……」「有名人が宣伝している、あれね」と、自然と刷り込みがされるという手法。当初の接触ツールとして使われるのは、男性の場合、「LINE」「フェイスブック」「インスタグラム」が20%前後。女性の場合は「インスタグラム」が最多で35%。「LINE」が18%と続きます。さらに被害時の連絡ツールとしては「LINE」の使用が最も多く90.4%、最終的に被害金の交付形態は「振込み」が89.5%となっています。 ちなみに被疑者が詐称していた職業として最多は「投資家」で32.1%。「その他著名人」19.0%、「会社員」3.5%、「芸能関係」2.5%と続きます。 カタチは変わっても、いつの時代でも同じような詐欺事件はあるもの。そしていつの時代も、被害者は「まさか自分が詐欺にあうなんて……」とコメントします。もちろん一番悪いのは詐欺師。ただ「自分は大丈夫」と過信することなく、用心過ぎるくらいで十分と、自衛を心がけたいものです。 [参考資料] 厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』 一般社団法人 日本経済団体連合会『退職金・年金に関する実態調査(2021年9月度)』 アドバイザーナビ株式会社『退職金に関する調査』 警察庁『令和6年1月~3月におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について』