「デマ、誹謗、妨害に近い」名古屋市長選敗北の大塚氏 圧勝の広沢氏は「減税が一番」
24日投開票された名古屋市長選は、前市長の河村たかし衆院議員が後継指名し、日本保守党が推薦した無所属新人、広沢一郎氏(60)が、自民、立憲民主、国民民主、公明の各党が推薦した前参院議員の大塚耕平氏(65)を13万票差で退けた。大塚氏は与野党相乗りの盤石な態勢で臨んだが、選挙戦中盤から引き離されたと指摘される。大塚氏は同日夜、敗因について「デマ、誹謗(ひぼう)中傷、レッテル貼りの影響も一定程度あった」と振り返った。 ■4党相乗りの「知の巨匠」も… 大塚氏は落選が報じられた24日夜、選挙事務所で記者団の取材に応じ、「後半戦から訴えた『敬老パス負担金ゼロ』について、『(以前の主張は)敬老パスを無くすのではなかったか』『逆のことを言っている』という問いかけを何十回も受けた。それだけデマは浸透していた。ある意味選挙妨害に近い行為だ」と悔しさをにじませた。 平成13年から参院議員を務めた大塚氏は「知の巨匠」(国民民主党の榛葉賀津也幹事長)と評されるなど政策通で知られる。昨年4月、市長選への挑戦を表明し、今年4月には国民民主を離党し、選挙準備を進めた。 大塚氏は4党の支援が及ばなかった現状について、「河村さんと選挙しているような、そういう面はあったかと思う」とも語った。 ■河村氏「さんきゅーべりーまっち」 一方、広沢氏はユーチューバーらの動画発信も駆使して「市民税減税」など、河村市政の継承を訴え、勝利をもぎ取った。 24日午後8時過ぎ。当選確実が報じられた広沢氏の選挙事務所は「イチロー」コールが巻き起こっていた。 「河村氏の政策と理念を引き継ぐ。この一点で勝負し、有権者の心に響いた。市民税減税の継続と拡大、これが一番だ」 河村氏に祝意の氷水をかけられ、着替える間もなくインタビューに応じた広沢氏は、勝因をこう分析した。 市民税減税に加え、市長給与年800万円への引き下げ、名古屋城の天守閣の木造化など河村氏の政策継承をアピールした。青く光る「自転車街宣」も駆使し、河村氏も選挙カーから支持を訴えた。 17日投開票の兵庫県知事選を終えると、再選した斎藤元彦知事を支援するユーチューバーらも、広沢氏支援のため名古屋に〝転戦〟するなど陣営にとって、SNS活用も功を奏した形となる。