「チャレンジへのワクワクのほうが強かった」大西真菜美がNBAアトランタ・ホークスのダンサーになるまで(前編)
能力の高い後輩に自信をなくすことも
──ホークスでの3シーズンで、苦しい時期はありましたか。 合格後に行われる、毎年恒例の合宿です。1年目はひよっこだから「先輩についていけ!」という感じで大丈夫なんですけど、2年目はルーキーも入ってくるので、先輩として背中を見せないといけない。でも、ルーキーにもうまい子がたくさんいるので、振り付けのフォーメーションでルーキーたちのほうが良いポジションだと「私、大丈夫かな来年」、「今シーズンやっていけるかな」と自信をなくす瞬間はありました。 ホームシックにかかることもあります。踊っているときは言語が必要ないし、振り写し(振り付けをレクチャーされる時間)で言われていることもだいたい分かるんですけど、普通のフリータイムでガールズトークや子供の頃に見ていたアニメの話が始まると、少し独りぼっちだなと感じる時がありますね。 ――そういうときはどうやって気を紛らわせますか? シェアハウスをしているチームメートにちょっかいをかけてみたり、「今は自分の時間」と割り切ったり。誰かに話したい気分になったら、日本のチアのチームメートに電話して何気ない話をします。 ――NBAのチアリーダーとしてのやり甲斐はなんでしょう。 オーディション期間中は、メンタル面など自分の成長を感じることができて楽しかったです。没頭している時間って楽しい。異国の地でのチャレンジはストレスもかかりますし大変ですが、今思えば幸せな悩みでした。オーディションに受かってからは、応援してくださる方々や新たな出会いが増えました。アトランタでも『NBAのダンサー』というところから人の輪が広がったのですごく楽しいですね。 特に今シーズンは、声を掛けてくださる日本人の方がすごく増えました。日本人ダンサーがアトランタにいることを知っている方はあまり多くない印象ですし、試合前のお出迎えのときも、声を掛けられることはなかったのですが、今シーズンは「YouTubeでダンサーをされていると気づいたので来てみました」とか「インスタグラムの『おすすめ』に出てきたので来ました」とか、私をきっかけにご来場いただく方がいらっしゃって。ダンサーが23人いる中で、日本人に一番アプローチできるのは私です。自分がチームにいる意義があるところに、うれしさを感じています。【後編へ続く】
バスケット・カウント編集部