約10分間の逆転劇 日大藤沢が2-1で湘南工大附に勝利
6月9日、令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)神奈川予選準々決勝4試合が行われた。横須賀リーフスタジアムでの第1試合は日大藤沢と湘南工大附が対戦した。 【フォトギャラリー】日大藤沢vs 湘南工大附 試合は両チーム、連戦の疲れをものともせず、死力を尽くした80分となった。 機動力を生かした日大藤沢は前半2分と9分、MF11岩内類(3年)がチャンスを作り攻撃のリズムを作ると、堅守をベースにロングボール、セットプレー、ロングスローで対抗する湘南工大附は13分、DF2對馬陸玖(3年)のシュートは惜しくもバー直撃。さらに湘南工大附は39分、相手GKが大きく前に出たところを見逃さなかったFW9長野里久(3年)がシュートを放つも枠外。決定機をふいにしてしまった。 両チーム、持ち味を生かしながらの攻防のなか後半6分、ゲームが動いた。湘南工大附はCKからDF4平井琥太郎(3年)が頭で押し込み、先制。勢いづく湘南工大附が圧を強めるなか、日大藤沢はFW7宮澤朋哉(3年)、FW9 伊東大輝(3年)、MF10布施克真(3年)、MF11岩内ら攻撃陣が迫るが、堅守に阻まれ、打開できずにいた。 試合が大きく動いたのが後半32分。日大藤沢のCKのシーン。その際、相手選手がペナルティエリア内でファールの判定を受け、一発退場。日大藤沢がPKのチャンスを得た。これをキャプテンFW7宮澤がきっちり決め、同点に。攻勢をかける日大藤沢は後半アディショナルタイム、40+2分、交代出場のFW19 内田祥瑛(3年)がクロスから頭で押し込み、追加点。これが決勝点となり、日大藤沢が2-1で湘南工大附に勝利した。 殊勲のFW19内田は「まずは同点に追いつこうとチームがひとつになっていました。そのうえでPKをしっかり決められたこと。さらに同点に満足せず、追加点を狙いにいくチームのムードが得点につながりました」と振り返った。また勝った佐藤輝勝監督は「自分たちがしっかりボールをつないで崩すサッカーを最後まで続けてくれたことが素晴らしい逆転ゴールにつながりました。相手に押し込まれるシーンはありましたが、よく粘って自分たちの時間にもっていけました」と総括した。 こうした展開の多くは相手に守りきられる、あるいは同点に追いついて延長戦となるものだが、残りわずかの時間で逆転できたのは日大藤沢の地力の強さ。その秘密は普段のトレーニングにあった。 「苦しいときこそ、自分たちがやってきたことがでます。これまで苦しい試合を想定した練習を積んできました」と佐藤監督。 その自信の一端だろう、ベンチサイドから必要以上に指示をしなかったのは、チームへの信頼の高さがうかがえる。そのことが伝わるシーンがあった。0-1で劣勢に立たされた後半30分くらいだったろうか、佐藤監督から「大丈夫。慌てなくていいから」との声。チームは焦ることなく、粛々と自分たちのサッカーを迷わず貫く、その後押しとなった。 終了のホイッスルの瞬間、ピッチにへたりこんだ選手の多くが日大藤沢イレブン。連戦の疲労というより厳しい試合を勝ちきった安堵の気持ちが強かったのかもしれない。 (文・写真=佐藤亮太)