肉厚でしっかりした食感、ワケネギの新品種「東京小町」試験栽培を開始
東京都農林総合研究センターが開発したワケネギの新品種「東京小町」が、農林水産省に品種登録されました。従来のワケネギよりも肉厚で食べ応えがあり、年間を通じて栽培が可能といいます。今年度、都内で試験栽培を開始。夏ごろには試験的に販売される見込みです。
「従来より緑色が濃く、肉厚でしっかりしていて食べ応えがあります。薬味に使えますし、ぬたや炒め物にも適していますが、1番のおすすめはねぎしゃぶです。長めに切ってさっと湯にくぐらせて。ブリしゃぶと一緒に食べても最高です」と園芸技術科野菜研究チームの沼尻勝人・主任研究員は、東京小町の味の魅力を語ります。 ワケネギは、おもに緑色の葉の部分を食べる青ネギの仲間です。同センターによると、都内では1930年代から葛飾区や足立区、府中市などで生産されてきたそうです。 従来品種のワケネギは、春から夏にかけて葉先にネギ坊主ができやすいという課題がありました。ネギ坊主ができると、葉が硬くなって品質が落ちてしまいます。これまで、露地栽培でワケネギを年間を通じて出荷する場合、秋から春にかけては従来品種、夏は夏用品種の2種類を栽培しなければならず、苗の管理などに手間がかかりました。 同センターは1992年より、夏の暑さに強く、ネギ坊主が発生しにくく、品質面でも優れたワケネギの研究開発に着手。21年かけて東京小町を開発しました。 東京小町は、年間を通じて栽培・出荷ができるほか、ネギ坊主の発生が少ないので歩留まりが高い点や、葉が肉厚で折れにくい点などが特徴です。 同センターでは、今年度は都内各地の農家で試験栽培を行い、夏には実際に販売して消費者の反応を確かめた上で、今後の展開を検討する方針です。益永利久・生産環境科長は「夏はネギの供給が減る時期。東京小町は夏場も収穫できるので消費者にメリットを提供できる」と期待します。