夜泣きは迷惑では?体調変化も心配…赤ちゃん連れや妊産婦に専用避難所 「子ども連れて徒歩でたどり着ける?」指定のホテルに体験宿泊、助産師の派遣も
ただ日常的に介護や福祉サービスの対象となる高齢者、障害者に比べ、妊産婦や乳幼児への支援は広がりに欠ける。 吉田穂波・神奈川県立保健福祉大大学院教授による2021年人口動態統計の分析では、健常者58・8%、高齢者29・1%に対し、乳幼児4・5%、妊産婦0・6%。関東地方の自治体の担当者は「どうしても人口が多い高齢者への対策が優先されてきた」と打ち明ける。 ▽子育て世帯は周りを気にして一般の避難所を避ける傾向、「事前にルールを」 乳幼児は夜泣きをしたり走り回ったりするため、子育て世帯は一般の避難所の利用を避ける傾向がある。2016年の熊本地震を経験した育児中の女性に対し「熊本市男女共同参画センターはあもにい」が実施した調査では、本震直後の生活場所は「自宅敷地内(車中泊を含む)」が最多だった。避難所と回答した人も、半数以上が建物内ではなく車で寝泊まりしていた。 吉田教授によると、災害時に在宅避難をしていた子育て世帯が物資をもらうため避難所に行ったところ、「避難所にいない人にはあげられない」などと言われ、支給されなかったケースがあったという。「妊産婦や乳幼児がいる世帯は、周りに迷惑をかけないように『自分さえ我慢すればいい』と考えてしまいがちだ。災害が起きた後にルールを決めるのは困難なため、自治体はニーズを把握し、事前にルールを決めて周知しておくことが必要だ。誰もが安心して過ごせる環境づくりを進めてほしい」と指摘している。