大規模地震の津波到達、熊本県内「最短9分」 県が調査結果を初公表 布田川・日奈久断層帯でマグニチュード7・9想定
熊本県は11日、大規模な地震の際にどの程度の時間で津波が到達するかを予測した「津波到達時間」の調査結果を初めて公表した。布田川・日奈久断層帯でマグニチュード(M)7・9の地震が起きた場合、県内では最短9分で津波が観測されるとの予測を示した。高さの最大は南海トラフで発生した地震で1・64メートルを見込んだ。 九州各県は東日本大震災を機に、最大クラスの津波が発生した場合に想定される浸水域と浸水深を示した「津波浸水想定」を定め、沿岸地域の津波到達時間を自主的に公表している。県は2013年3月に浸水想定を設定したものの到達時間は唯一調べておらず、木村敬知事が調査する意向を示していた。 浸水想定を設定した際のデータを基に分析した。雲仙断層群、布田川・日奈久断層帯、南海トラフを震源域とする3モデル計6ケースの地震を想定。沿岸14市町の65カ所を選び、気象庁が津波注意報を出す基準となる20センチを超える津波を観測する「影響開始時間」や、地震発生後に最大となる津波の高さと観測までの時間を算出した。
影響開始時間が最も早かったのが、布田川・日奈久断層帯でM7・9の地震が発生したケースのうち、上天草市の八代海側で9分だった。津波の高さの最大は南海トラフでM9・1の地震が発生したケースの一つで、天草市の八代海側の1・64メートル。観測までの時間は地震発生から340分後だった。雲仙断層群や布田川・日奈久断層帯は影響開始時間が早く、南海トラフは津波の水位が高い傾向があった。 県危機管理防災課は「地震で堤防が損壊した場合、津波が到達する以前に浸水が始まることがある。気象庁から津波の情報が発表されたら、一刻も早く避難してほしい」と話した。 県は調査結果をホームページで公表。避難の場所や経路などの確認のほか、自治体の防災・避難計画の再検討や津波タワーといった避難施設の整備に役立ててもらう。(臼杵大介)