「自分を責めて相談をためらう人が減るように…」自ら支援活動 性暴力を受けPTSDに…20代被害女性を支えたもの<後編>【こども・若者の性被害をなくそう】
ある20代女性は自宅に侵入した見知らぬ男によって性暴力を受けた。その瞬間、体の感覚がなくなったという。男は、女性の裸の動画を撮影し、「会社を知っている、誰かに言ったら動画を会社に流す」と脅した。女性は被害直後の1時間、何をしていたか記憶がない。その後、力を振り絞って、男の特徴や何が起きたかを必死に思い出して記録し、恐怖の中、その日のうちに病院へ。PTSDにも苦しんだ女性を支えたものとは?<後編>
【▶前編はこちら】「体の感覚と記憶がなくなって…」性暴力を受けPTSDに 20代被害女性を支えたもの【こども・若者の性被害をなくそう】
■恐怖で体の感覚なくなった…が、すぐ受診、支援につながる
社会人1年目の夏、深夜に見知らぬ男が自宅に侵入し、性行為を強要される被害に遭った卜田素代香さん(20代)。男からは「体だけ貸してくれればいいよ」「会社を知っている、誰かに言ったら動画を会社に流す」などと脅され、殺されるかもしれないという恐怖で体は凍り付き、感覚がなくなった。男が立ち去って1時間半ほど、卜田さんは何をしたか記憶がないが、その後、性暴力の内容や男の特徴などをメモにして残し、家族やパートナーに被害を打ち明けて、その日のうちに家族とともに病院を受診。その後PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断を受け、専門機関による治療やカウンセリングを受けながら、時間をかけて回復していった。卜田さんを襲った男は、その後、逮捕・起訴された。卜田さんは性被害を受けてからの数か月、警察での聴取や国選弁護士の選定など、これまでにない経験をし、新しく知ることばかりだったという。
■SNSに投稿されている性被害当事者の悲痛な声
『警察に行っても被害届を受け取ってもらえない…』 卜田さんはSNSに自身が受けた性暴力に対する思いなどを匿名で投稿していた。SNS上にはほかの性被害当事者たちの悲痛な声があった。 『誰にも話してません』『警察に行っても、被害届さえ受け取ってもらえない』『親とか友達とか身近な人に話したら、こんなひどいことを言われた』 当事者たちの投稿内容は、自分が置かれている状況とあまりにも違っていた。卜田さんは「果たしてどれだけの人が支援につながっているんだろう。自分のように支援を受けている人はすごく少ないのではないか」と考えたという。そして、「性被害がないのが一番だけど、被害に遭ってしまった人はちゃんと支援につながるべき」「私が性被害を受けてからの数か月でやってきたことや得た情報・知識を共有することが大事なのでは」という思いから、性被害に遭った人に向けて《その後の支援情報を発信する場所》を作ろうと思い立つ。