韓国・尹大統領の弾劾訴追案「廃案」 戒厳を提案したと指摘される金前国防相が“検察に出頭”報道も
韓国の尹錫悦大統領が一時「非常戒厳」を宣言したことをめぐり、7日夜、採決が行われた尹大統領の弾劾訴追案は票数が規定に達しなかったため廃案となりました。 昨夜行われた採決では与党議員のほぼ全員が議場から退出し、投票を棄権しました。 このため投票数が規定の定数に達しなかったため採決は不成立となり弾劾訴追案は廃案となりました。 これにより、尹大統領は職務を継続することになります。 採決が行われていた国会の前では警察の推計でおよそ15万人の市民が集まり、尹大統領への弾劾を求めました。参加者たちは今回の結果に失望をあらわにしました。 集会参加者 「あまりにも恥ずかしい、見るに堪えない現実がすさまじいほど恥ずかしく(子孫に)申し訳なく思っています」 「とても残念だが、次の機会が必ず来ると思うので、あまり気後れせずにずっと勇気を持って行動する」 「尹錫悦は退陣せよ!」 今回の結果を受け、最大野党の代表は「尹大統領を必ず弾劾する」と徹底追及の構えで「国民へのクリスマス、年末のプレゼントにしたい」と話すなど年内の弾劾可決を目指す考えを強調しました。 野党側は早ければ11日にも再び弾劾訴追案を提出する方針を示しています。 一方、与党の代表は7日夜の本会議後、「尹大統領の秩序のある退陣を進める」と言及した上で「大統領が退陣するまで大統領は事実上職務から排除される」と述べました。 また、退陣に向けては「野党とも誠実に意見を交わす」としています。 尹大統領は7日、国民への謝罪の談話を発表した際、自らの進退について、「与党に一任する」と言及しています。与党側としては弾劾訴追案の可決など野党側に主導権を持って行かれるのは避けるかたちで大統領の退陣に向けて軟着陸をはかる狙いがあるとみられます。ただ、市民たちの怒りはおさまっておらず、大規模な抗議集会も続くとみられ、韓国社会の混乱はしばらく続きそうです。 こうした中、韓国メディアは戒厳を提案したと指摘されている金龍顕前国防相が8日未明、検察に出頭したと伝えました。 検察の特別捜査本部は聴取を行っていることを認めていて、事態の全容解明を急いでいるものとみられます。