サントリー、「ビール類シェア25%に」…鳥井氏「社長をやるやらないのとは別に創業家としての求心力は必要」
サントリーホールディングス(HD)傘下で、国内酒類事業を統括する事業会社サントリーの鳥井信宏社長(58)が読売新聞のインタビューに応じた。昨年10月の減税で追い風が吹くビールの販売強化などで、2030年をめどにビール類の販売シェア(占有率)を25%に引き上げたい考えを明らかにした。
鳥井氏は「各社の競争で味や付加価値が生まれた歴史がある。市場を盛り上げるには、健全な(シェア)競争は必要だ」と強調した。サントリーの販売シェアは現在20%弱とみられ、アサヒビールやキリンビールに差をつけられている。サントリーは高価格帯の「ザ・プレミアム・モルツ」に次ぐ主力商品として、中価格帯の「サントリー生ビール」を昨年発売した。鳥井氏は「プレモルとは違い、サントリーでは珍しく極めて香ばしい味が売りだ」と述べ、飲食店への営業活動を強化する方針を示した。
鳥井氏は、創業者である鳥井信治郎氏のひ孫にあたる。銀行勤務を経て1997年に入社し、高価格帯ビールの戦略担当部長などを務めてきた。22年にサントリー社長となり、サントリーHDの次期トップ候補とみられている。
サントリートップは現在の新浪剛史社長以外、創業家から輩出してきた。鳥井氏は「私がやりたいかどうかではなく、グループのみなさんがどう思っているかだ。(社長を)やるやらないのとは別に、創業家としての求心力は必要だ」と述べ、創業家が会社を率いる意義を強調した。