6GB/s超!Thunderbolt 5対応に対応した世界初の外付けSSD「Envoy Ultra Thunderbolt 5ポータブルSSD」を試す
やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。 【画像】ボディにはアルミ合金を採用。スリットを入れることで放熱性を高めているようで、ファンレス駆動を実現している OWCから世界初というThunderbolt 5に対応する外付けSSD「Envoy Ultra Thunderbolt 5ポータブルSSD」が発売された。公称転送速度は6,000MB/sという超高速仕様。2TBモデルを試用する機会を得たので、Thunderbolt 5ポートを備えるRazerのゲーミングノートPC「Razer Blade 18」を使って実際に試してみた。実売価格は2TBモデルで63,790円前後、4TBモデルで98,990円だ。 Envoy Ultra Thunderbolt 5ポータブルSSDは、インターフェイスにThunderbolt 5を備える外付けSSD。Thunderbolt 5は最大80Gbps(10,000MB/s)の双方向帯域幅を持ち、最大240Wの充電、デュアル8Kモニターに対応する最新のインターフェイスだ。最新のWindows機やMacで搭載モデルが登場しているが、対応デバイスの数はまだ少ない。 本体の形状やスペックに触れていこう。Type-C形状のケーブルが本体に接続されており、取り外しはできない作り。公称転送速度は6,000MB/sだ。Thunderbolt 4は40Gbps(5,000MB/s)までなので、本製品はThunderbolt 5のポテンシャルを生かしたものだと言える。 リード、ライトといった記載がないため、実際の速度が気になるところ。Thunderbolt 3、Thunderbolt 4、USB4にも対応しているが、速度はそれぞれのインターフェイスまでに制限される。取り付け可能なのは、対応インターフェイス備えるWindows、Chromebook、Mac、iPad Proだ。 本体のサイズは71×198×20mmで重量は327.2g。放熱性に優れたアルミ合金を採用することでファンレス駆動を実現している。このほか、防水、防塵、耐衝撃仕様となっており、安心して持ち運びも可能だ。なお、Thunderbolt 5コントローラーは、IntelのJHL9480を採用している。 ■ Thunderbolt 5搭載ノートPCで実際の速度をチェック! ここからは実際の速度や温度をチェックしていこう。性能を最大限発揮できるように、Thunderbolt 5を搭載したRazerのゲーミングノートPC「Razer Blade 18」を用意した。CPUにCore i9-14900HX、GPUにGeForce RTX 4080を搭載するハイエンド仕様だ。こちらの性能も後半で紹介していきたい。まずは、データ転送速度を測る「CrystalDiskMark」から試そう。 シーケンシャルリードで6,056.81MB/sと公称速度を超えた。シーケンシャルライトも4,213.83MB/s秒と高速だ。Q1T1のランダムリードは50.71MB/s、ライトは22.68MB/sとこちらはM.2接続のNVMe SSDに比べるとやや控えめ。ランダム性能はアプリの起動や動作に影響しやすいため、本製品はシーケンシャル性能が活きる大容量データの保存に向いていると言える。 続いて、連続書き込み時の速度と温度の推移を見てみよう。TxBENCHを使って5分間連続で書き込みしたときの速度温度を「HWiNFO Pro」で測定した。さらに、表面の温度をサーモグラフィーでも確認している。 データ転送速度は46GBほどの書き込みでSLCキャッシュが切れるようで、2,500MB/s前後から430MB/s前後まで速度が低下する。試しに約120GBの動画データのコピーも実行してみたが、同じく46GBほどの書き込みで速度が低下した。大容量のデータを連続して書き込むとこのような挙動になると覚えておきたい。 温度に関しては、最大でも42℃とまったく心配のいらないレベル。サーモグラフィーでも表面は37.1℃しかなく、実際に触ってもほんのり温かい程度だ。ファンレス駆動だが、放熱性には優れていると言ってよいだろう。 Thunderbolt 4(40Gbps)やUSB 3.2 Gen 2 Type-C(10Gbps)に接続した場合はどうなるのか。Core Ultra 9 285K+Z890マザーボードの環境で試してみた。 Thunderbolt 4接続では、問題なく認識するが、インターフェイスの速度はThunderbolt 5の半分になってしまうため、データ転送速度もシーケンシャルリードで3,846.01MB/s、シーケンシャルライトで2,936.13MB/sとかなり下がってしまう。性能を生かすには、やはりThunderbolt 5環境が必要だ。 USB 3.2 Gen 2 Type-C接続だと「別のUSBポートを使用してください」と表示され、ドライブとして認識しなかった。Type-CであればどのPCでも使える、というわけではない点は注意したい。 ■ モンスター級ゲーミングノートPC「Razer Blade 18」の実力を見る 最後に、テストに利用した「Razer Blade 18」を紹介しておこう。18型の大型ディスプレイを備えるゲーミングノートPCだ。RazerのWebサイトからの注文では、スペックのカスタマイズが可能。CPU、GPU、ディスプレイの解像度やリフレッシュレート、ストレージの容量などが選択できる。 今回利用したモデルでは、CPUにIntel第14世代のCore i9-14900HXを搭載。Pコア8基、Eコア16基で合計24コア32スレッドとモバイル向けでは最上位クラスだ。最大クロックも5.8GHzと非常に高い。 GPUにはNVIDIAのモバイル向けのRTX 40シリーズの中で上位に位置するGeForce RTX 4080 Laptop GPUを搭載。CUDAコアが7,424基、ビデオメモリがGDDR6 12GBでノートPCの設計に合わせて、ブーストクロックは1,350~2,280MHz、カード電力は60~150Wの間で設定できるようになっている。本機は、ブースクロックが1,665MHz、カード電力が標準で80W、最大175Wに設定されていた。 ディスプレイはQHD+(2,560×1,600ドット)と高解像度。リフレッシュレートも300Hzと高く、可変リフレッシュレートのG-SYNCにも対応、応答速度も3.0ms未満というかなりのゲーマー仕様だ。 さらに、高い色の表現力を求めるDCI-P3規格のカバー率100%という広色域、Mini LED採用で2,000超のローカルディミングに対応、1,000cd/平方mの輝度と動画の視聴やクリエイティブワークにも向く強烈なスペックだ。 ストレージはPCI Express 4.0接続のNVMe SSDが1TB、メモリはDDR5-5600が32GB搭載されている。ゲームのプレイには十分な容量だ。 キーボードは日本語配列だが、日本語の印字がほぼないスッキリとした見た目。独自のRazer Snap Tapによって、前のキーを離さないでも次の入力を優先できるのが特徴だ。これによって応答性を高めている。インターフェイスはThunderbolt 5、USB 3.2 Gen 2 Type-C(DP対応)、USB 3.2 Gen 2 3基、HDMI出力、2.5Gの有線LAN、SDカードスロットを搭載。ワイヤレス機能はWi-Fi 7およびBluetooth 5.4に対応する。 ここからはゲーム性能を見ていこう。今回は5本のゲームを用意した。基本画質設定は最上位にして解像度は2,560×1,600ドット、1,980×1,200ドットの2種類でテストしている。リフレッシュレートが300Hzと高いだけに、それをどこまで生かせるフレームレートを出せるかに注目したい。 まずは、定番のFPSとして「Apex Legends」と「オーバーウォッチ2」を試そう。Apex Legendsはトレーニングモードで一定コースを移動した際のフレームレート、オーバーウォッチ2はbotマッチを実行した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定している。 どちらのゲームも2,560×1,600ドットの高解像度かつ最高画質設定でも高いフレームレートを出しており、マシンパワーのすごさが見えるところ。1,980×1,200ドットまで落とせばApex Legendsは平均259.0fps、オーバーウォッチ2は平均207.5fpsまで到達が可能だ。 続いて、重量級ゲームを実行する。「Ghost of Tsushima Director's Cut」、「Starfield」、「サイバーパンク2077」の3種類だ。アップスケーラーのDLSSをバランス設定にし、フレーム生成も有効にして実行している。Ghost of Tsushima Director's Cutは旅人の宿場周辺の一定コースを移動した際のフレームレート、ジェミソンのロッジ周辺の一定コースを移動した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定。サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を利用している。 アップスケーラやフレーム生成の力もあるが、AAA級ゲームを高画質かつ高解像度で余裕で快適に遊べるフレームレートを出せるのは素晴らしい。1,980×1,200ドットにすれば、さらにフレームレートを伸ばせる。18型の大画面、Mini LEDの美しさ、300Hzの滑らかさはゲームの没入感をとても高めてくれる。価格は高いが、それだけの体験を得られる1台だ。 ■ Thunderbolt 5の速度を体験できる貴重な1台 Envoy Ultra Thunderbolt 5ポータブルSSDは、ようやく本格的な普及がスタートしたThunderbolt 5の速度を生かせる貴重な外付けSSDだ。ファンレス駆動だが、放熱性にも優れており、連続した書き込みでも安心して使えるのもポイント。6,000MB/sを超える速度は、大容量データを扱う人にとっては魅力的に映るはずだ。
PC Watch,芹澤 正芳