コーチ陣も感服する「岡田流」采配まもなく見納め 後任監督は名将との比較を逃れられない 鬼筆のスポ魂
セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(12日開始・3試合制)は、2位・阪神が本拠地・甲子園球場で3位・DeNAと戦う。勝ち上がれば日本シリーズ(26日開幕)出場権を懸けて、16日から敵地・東京ドームで巨人とのファイナルステージ(4勝先勝、巨人に1勝のアドバンテージ)に向かうが、ここに来て阪神の現場首脳陣の間で興味深い言葉が流れていた。 【写真】岡田彰布監督と談笑する藤川球児スペシャルアシスタント。次期監督の有力候補として名前が挙がっている ■DeNAを警戒 「もし、今年のDeNAの監督がウチの岡田さんだったら、DeNAはぶっちぎりでセ・リーグを制していただろう。DeNAの打線はすごいし、投手陣も先発の東やジャクソンがいる。巨人よりも怖いのはDeNA。そんな話で盛り上がった」。現場のコーチ陣がベンチ裏で交わした会話だそうだが、ここには2つのポイントが潜んでいる。 1つはCS目前で阪神首脳陣が警戒している一番の相手が、今季4年ぶり39度目のリーグ優勝を果たした巨人ではなく、3位に滑り込んだDeNAだということ。阪神は巨人との対戦成績は12勝12敗1分け。DeNAとは13勝11敗1分け。ともに拮抗(きっこう)している。 巨人の本拠地・東京ドームでは4勝8敗と負け越していて、甲子園球場でのDeNA戦は5勝4敗。普通に考えれば、DeNAより巨人を警戒するはずが、阪神の首脳陣は「DeNAが怖いんだ」という。 直接戦った者にしか分からない肌感覚なのだろう。DeNAは牧、佐野、オースティン、宮崎と中軸が粒ぞろいで、140試合消化時点でリーグトップの514得点をマーク。投手陣も先発の柱に昨季の最多勝で今季も13勝4敗の左腕・東がいて、リリーフも豊富だ。「もし、DeNAが岡田監督だったら、ぶっちぎりで勝っていた」という言葉は、戦力的にはDeNAが屈指-という評価を示したものだ。 ■「野球頭脳すごい」 そして、2つ目のポイントは「もしウチの岡田さんが…」という部分。敵将の手腕がどうこうではなく、岡田監督配下のコーチ陣は指揮官の選手起用や戦略戦術に感服していて、それこそが「ぶっちぎりで勝つ」と言い切った根拠となっている。 15年ぶりに阪神監督に復帰した昨季は85勝53敗5分けでチームを18年ぶりのリーグ優勝に導き、日本シリーズではオリックスを4勝3敗で下して38年ぶり2度目の日本一に。そして、今季は9月に入り、首位の巨人を猛追。2位を確定させている。コーチ陣からは単なるゴマすりではなく、「岡田さんの野球頭脳はすごい」という言葉が出ていた。