俳人・成田千空顕彰へNPO設立 地元・青森県五所川原市の研究者ら 16日総会、学習会
青森県五所川原市の俳人・成田千空氏(1921~2007年)の足跡や作品を広く紹介し、地域文学の研究・顕彰を行うことを目指すNPO法人「千(せん)の空(そら)」が、地元の研究者らによって設立された。16日に市内で臨時総会を開く。メンバーは「千空さんの顕彰を第一としつつ、文化イベントに『誰もが』参加できる環境づくりにも関心を持って活動したい」と意欲を示す。 同NPOは、「成田千空伝」の著者で千空氏の研究を長年行ってきた同市の齋藤美穂さん(60)が代表理事を務める。 千空氏の人と作品をさまざまな形で紹介していく必要性を感じていた齋藤さんは、同市の社会福祉士・木村博行さん(67)らと話し合い、著作権の管理も含め新たに団体をつくって対応していくことを決意。千空氏の妻・市子さん(97)の同意を得て、NPO設立にこぎ着けた。木村さんは副代表理事となっている。 会員は県内外の10人で、千空氏の親族やグラフィックデザイナー、特別支援学校教員などバラエティーに富む。10月の法人設立以降すでに活動に入っており、手始めとして深浦町の「太宰の宿ふかうら文学館」にある「成田千空の間」の展示の再構成に協力。展示室内で視聴できる映像に字幕がないことから、耳の不自由な人のために、ナレーションを文字にした印刷物を用意した。 今後は千空氏と地域の文学者とのつながりなどを紹介する独自のリーフレットを作り、県内の文学関連施設に置いてもらう予定だ。 齋藤さんは「千空さんは戦後、誰もが人間らしく暮らせる社会の実現を信じて、俳句を作り続けた。その生き方に注目し、広く活動を行っていきたい。誰もが地域の文学や文化に身近に接することができる環境こそ、豊かな地域社会につながる。そこに共感してもらえる方々と一緒に活動したい」と話している。 総会は16日午後1時半から立佞武多(たちねぷた)の館で開き、ミニ学習会も行う。同NPOへの問い合わせはファクス(0173-35-3921)、またはメール(アドレスmiho.39s@rc4.so-net.ne.jp)で。