狂気にまみれた犯罪者を頭脳派集団が追い詰める…ドキドキとカタルシスに魅了される<クリミナル・マインド/FBI vs. 異常犯罪>
アメリカ発の長寿ドラマ「クリミナル・マインド/FBI vs. 異常犯罪」のシーズン17が9月18日(水)より配信される。実は同作、2020年放送のシーズン15で一度終了した作品。すぐに多くのファンの期待に応え新シーズン16が制作されることになり、アメリカでは2022年、日本では2023年に配信された。長寿作品だけに今から手を出すのは…と躊躇(ちゅうちょ)している人もいるかもしれない。だが、シーズン16から装いが新たになっていることもあり、キャラクターなど基本を押さえておけば十分楽しむことができる。その“基本”と、新シーズンとつながりもあるシーズン16のポイントを紹介していこう。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】犯罪サスペンスの中でキュートな魅力も発揮するガルシア(カーステン・ヴァングスネス) ■「クリミナル・マインド/FBI vs. 異常犯罪」とは 同ドラマは、アメリカの3大放送ネットワークの一つ、CBSで2005年9月にスタート。アメリカ全土の事件を捜査するFBIに所属する行動分析課、通称BAU(Behavioral Analysis Unit)を舞台に、優れた頭脳と鋭い分析力を持ち、犯罪を行う心理状態や行動などから犯人を追い詰めていくプロファイラーであるメンバーたちの活躍を描く。タイトルのクリミナル・マインド(Criminal minds)は、犯罪者心理を意味する。 犯罪ドラマは、刑事などが現場に残された遺留品や手口などから犯人にたどり着くというスタイルが多い。そんな中で本作は、犯罪心理という“プロファイリング”を主体にしているという分野の先駆者的存在でもあり、独自のサスペンス感を醸し出している。 犯罪は悲しいことに今この時間にも世界のどこかで起きてしまっている。そのどれ一つ軽んじていいものではないが、尋常ならざる事件があるのも確かだ。BAUメンバーたちが対峙(たいじ)することになるのは、シリアルキラー(連続殺人犯)をはじめとする凶悪犯。犯行の対象となるのは、家族や友人だけでなく見知らぬ人も。己の欲望を満たそうとする悪行は時に想像を超えるものとなるが、メンバーたちは膨大なデータに基づいて犯人逮捕、犯行の阻止に命を懸ける。 犯行は放火、爆弾、誘拐など実に様々で、それがドラマとしては飽きないところでもあるのだが、残忍性、凄惨さに目を背けたくなる。そんな犯人を突き止めるために懸命になってくれるメンバーたちを自然に応援したくなり、常に高視聴率で、配信などで世界各国でも人気を博した。しかし、惜しまれつつ2020年のシーズン15で終了となった。 と思いきや、すぐにシーズン16の制作が発表に。アメリカでは2022年に定額制サービスのVOD(ビデオ・オン・デマンド)であるParamaunt+で、日本では2023年にディズニープラスで配信となり、ファンが歓喜した。 ■シーズン16は恐ろし過ぎる殺人ネットワークが発覚 さて、本作の基本として押さえておきたいのは、プロファイリングが主体になる物語ということと、BAUのプロファイラーたちだ。 まず、物語について、シーズン16から大きく変化したことがある。1話完結が基本だったのが、シーズンを通して1つの事件を追うスタイルが導入されたのだ。 ワシントン州でコンテナの中に隠された16もの他殺体が見つかり、さらにヴァージニア州では一家殺害事件、メリーランド州では少女誘拐とその両親の殺害事件が発生。各地に向かったBAUメンバーたちは、パンデミックの間に拡大した殺人ネットワークの存在に気付く。一つ一つの殺人犯、そしてネットワークの首謀者に立ち向かうことに。 単独犯だけでも難しいのに、その背景に潜む黒幕的存在。最強といわれるプロファイラーたちが力を合わせて挑む様は、なんとも熱い。また、描写としても、地上波から配信系となったこともあるのか、一段と事件現場の凄惨さが映し出されているようにも思える。それだけに悲しみと罪を憎む気持ちが高まるようだ。 ■おなじみキャラクターの私的な変化と職務への熱さ 全10話かけてじっくりと事件を追うので、犯人のキャラクターが掘り下げられる。それはBAUメンバーもしかりで、会話で説明されたり、描写があったりで把握しやすいといえるが、ここで少し説明していこう。 伝説のプロファイラーといわれるデヴィッド・ロッシ(ジョー・マンテーニャ)はBAU創立メンバーの一人。一度引退しており、親友であり共に創設者だった人物が辞めたときに後任として自ら志願して復帰した経緯がある。見た目は紳士的で、チーム内でも頼りになる存在だが、時に過激な手段で驚かせることも。プライベートではシーズン14のラストで4度目の結婚を。ところがシーズン15から3年たったシーズン16ではその妻を亡くして自暴自棄な生活を送っているという衝撃展開が。悲しみの中で捜査していくのが見どころの一つとなっている。 愛称“JJ”のジェニファー・ジャロウ(A・J・クック)は、当初広報担当を務めていたがシーズン6でアメリカ国防総省のオファーで転任。シーズン7からプロファイラーに昇進してBAUに復帰した。結婚、妊娠、子育てと、キャリア女性の苦心も共感を呼ぶキャラクターで、シーズン16では、職務で多忙になる中、刑事の夫との関係に焦点が当たる。なお、JJの息子2人は、クックの実の息子たちで親子共演を果たしたのも話題になった。 ペネロープ・ガルシア(カーステン・ヴァングスネス)は他のメンバーとは違って、PC系の技術に長けていて、インターネットや公的機関のデータなどから必要な情報を収集してメンバーに提供するテクニカルアナリスト。派手なファッションとユニークな言動でBAUチームのムードメーカー的存在で、視聴者にも愛されているキャラクターだ。シーズン15で職務の苦しさからBAUを去る選択を自らしたが、シーズン16での復帰に多くのファンが喜んだ。そんなガルシアは、事件に関わる人物と危険な関係にもなってしまう。 その他、アラビア語やスペイン語など語学に堪能で行動力があるリーダーのエミリー・プレンティス (パジェット・ブリュースター)、司法学者のタラ・ルイス(アイシャ・タイラー)、元陸軍のルーク・アルヴェス(アダム・ロドリゲス)がいる。 本シリーズの魅力は、彼らおなじみのメンバーたちのキャラクターにもある。共感できたり、笑いをもたらしてくれたり、心配したり。シーズン16では、彼らのプライベートの変化もだが、BAUそのものの存続も危ぶまれる展開になる中で、これまでの中でも強敵となる凶悪犯に立ち向かわなくてはならないドキドキ感がある。 深みが出る物語と共に凶悪犯にたどり着くカタルシスに夢中になれるはずだ。このシーズン16でわれわれ見る者も大いに震え上がらせる凶悪犯は、シーズン17のあらすじによれば、新たな謎に絡んでくるという。 「クリミナル・マインド/FBI vs. 異常犯罪」は、ディズニープラスのスターで全シリーズ配信中。シーズン17(全10話)は、9月18日(水)に配信スタート。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部