イチローが引退会見で語った「左腕先発は変人が多い」は真実か?
マリナーズのイチロー(45)が21日の深夜に行った引退会見には数々の名言があって大反響を呼んだ。イチローらしい独自見解が多かったが、面白かったのは、マリナーズの菊池雄星について語ったとき「左投手に変わっている子が多い」という私見を述べたシーンだ。筆者は、まったく同じ見解を以前に聞いたことがあった。実は、ヤクルトのスカウト責任者として30年にわたって選手を見てきた名スカウトの片岡宏雄氏も、「左投手は変わった子が多い」と、機会があるごとに語っていたのである。 イチローの会見での語録を再現するとこうだ。 「雄星のデビューの日に僕が引退を迎えたというのは、なんかいいなあという風に思っている。“ちゃんとやれよ”という思いですね。短い時間でしたけれども、すごくいい子。色々な選手を見てきたんですけど、左ピッチャーの先発って変わっている子が多いですよ。ほんとに。天才肌が多いという言い方もできるんですがね。アメリカでも多いです。だから“こんなにいい子いるのかな?”という感じですよ、今日まで」 イチローは、ここから羽田空港に着く際に移動時の「黒ジャージ」のまま出ることはやめておこうと話をしていたのに、そのまま「黒ジャージ」で降り立った菊池のエピソードを面白おかしく語り、「こいつ大物だなって思った。ぶったまげました。真相は本人にまだ聞いてないんですけどやっぱり左ピッチャーは変わった奴が多いなと思ったんです。でも、スケール感は出ていました。頑張ってほしいです」と続けた。 片岡氏も、この引退会見をテレビで見ていて「イチローも同じことを思っていたんだ」と、感心したという。 「これまで左投手について解説するとき、いつも“左は変わっている”という話をしてきただろう? 古くは金田正一さんに、江夏豊。僕がドラフト指名した中では、石井一久。偶然にも石井はイチローと一緒の1991年のドラフトの1位だったけれど、とにかく、私は、30年、スカウトとしていろんな投手を見てきたが、左投手には、性格的に変わっている選手が多かった。特に大型左腕と言われる投手に、その傾向があった。ちょっと人とは違う独自の考え方を持っているというか、何を考えているかわからないというか、マイペース型の性格の投手が多かった。だからなのか、成功するか、失敗するかの両極端になる。天才肌だから、理詰めで、フォームをチェックしたり自分の肉体をうまくコントロールできない投手が多いと思う。平安からオリックスへ入った川口知哉や大阪桐蔭から巨人に入った辻内崇伸なんか、その典型だろうね。素材としては凄いのに結果を出せなかった。でも、野球界では左投手は重宝されるので、同じくらいの力であれば、左投手に目が向くんだよね。その理由や根拠は、よくわからないが、これだけの選手を見てきた私も、体験的にイチローとまったく同じ考えを持っていたよ」