鉄路の存廃前提としない「地域交通の在り方協議」、JR九州社長が2例目の意向表明 年間4億円超す赤字、JR日南線・油津-志布志
JR九州は28日、利用客の減少による赤字が続く日南線の油津(宮崎県日南市)-志布志(鹿児島県志布志市)間の地域交通の在り方に関する議論を鹿児島、宮崎両県、志布志、日南、串間の沿線3市と始める意向を明らかにした。鉄路の存廃は前提とせず期限は設けない。同社が赤字区間の今後の在り方に関し、議論を打診するのは指宿枕崎線(鹿児島県)の指宿-枕崎間に続き2例目。 【写真】〈関連〉JR九州が「在り方議論」の意向を表明した日南線の油津-志布志の区間を地図で確認する
福岡市であった定例会見で古宮洋二社長が発表した。国が主導し鉄路の存廃を議論する再構築協議会や、都道府県の法定協議会といった枠組みにこだわらない考えを示した上で、「法定協や任意協議会などに進む前のステップ」と話した。 同社が8月公表した2023年度の油津-志布志間の1キロ当たりの1日平均乗客数を示す「輸送密度」は179人で、JR発足時の1987年度と比べ73%減少している。収支は4億1800万円の赤字だった。 同区間の選定理由に、古宮社長は「利用客がJR発足時から大きく減った。本線から外れた区間であることも特徴だ」と説明。「未来に向けてどういう形がふさわしいのか。地元の方々と議論したい」と述べた。 同区間では2019年度から沿線自治体と「線区利用に関する検討会」を設け、利活用策を議論してきた。同市と鹿児島県の担当者は「まずはJR九州から話を聞き対応したい」とコメントした。駅前イベントなどを開く志布志市観光特産品協会の樺山弘昭事務局長は「終着駅であり始発駅でもある志布志駅は観光・交通の拠点。今後も駅を中心に活性化を図りたい」と話した。
県内の赤字区間では今年8月、県や沿線自治体、JRなどが指宿枕崎線の指宿-枕崎間の在り方に関する検討会を発足。初会合で鉄路を生かした地域づくりを当面話し合う方向で一致し、協議を続けている。
南日本新聞 | 鹿児島